トランプの迷走どこまで?
Japan In-depth / 2018年1月10日 23時15分
植木安弘(上智大学総合グローバル学部教授)
「植木安弘のグローバルイシュー考察」
【まとめ】
・暴露本、『火と憤激:トランプ・ホワイトハウスの内幕』マイケル・ウォルフ著が波紋を広げている。
・側近たちも裏ではトランプ氏を「馬鹿」とか「愚か者」などと酷評している。
・トランプ氏の政治的凋落に繋がるかどうか、今後の動向を注視。
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「なるべきでない人が大統領になった」、「トランプワールドの人達はトランプが馬鹿だということを皆知っている」――こういった酷評が2018年初めのアメリカを揺り動かしている。『火と憤激:トランプ・ホワイトハウスの内幕』と題したマイケル・ウォルフの本がこれに一石を投じた。
▲写真 Fire and Fury ペーパーバック – 2018/1/9 Michael Wolff (著)
まだ出版前に大きな見出しとなったのが、トランプを大統領に仕立てた影の貢献者と言われるトランプ政権下の大統領側近で主任戦略家だったスティーブン・バノンによるトランプ家の人達、特に息子のドナルド・トランプ・ジュニアと娘婿のジャレッド・クシュナーへの批判だった。
▲写真 スティーブン・バノン元米大統領首席戦略官兼上級顧問 flickr Gage Skidmore
トランプ・ジュニアとクシュナーは、2016年6月の大統領選挙選の時にロシア人から対立候補のヒラリー・クリントンのe-mailに関する「泥」を受け取ったとされ、トランプ選挙陣営のロシアとの共謀が連邦捜査局(FBI)の調査対象になっている人達である。バノンは、ロシア人との会合は「国家反逆罪のようなものだ」、「非愛国的」だと痛烈に批判し、同じビルにオフィスを構えていたトランプ自身にこのことを話さなかったということはあり得ないと断定している。内部の事情を詳しく知る人の発言だけに、アメリカを揺るがす事態となった。
▲写真 ジャレット・クシュナー米大統領上級顧問と妻のイバンカ・トランプ大統領補佐官 2017年2月17日 flicker:North Charleston Photo by Ryan Johnson
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