まともに機能しない米政治
Japan In-depth / 2018年1月11日 18時22分
宮家邦彦の外交・安保カレンダー(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
2018#02 2018年1月8-14日
【まとめ】
・トランプ政権内情暴露本で渦中のバノン前大統領首席補佐官は「後悔している」と弁明。
・バノン氏は本の中で、トランプ陣営幹部が去年、弁護士同席なく外国政府関係者と会ったことは反逆的かつ非愛国的な行為とした。
・バノン氏は本での発言を否定しておらず、トランプ陣営も和解の可能性については沈黙している。
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今週のワシントンはトランプ政権の内情暴露本の話で持ち切りだ。詳しくは関連報道を読んで頂くとして(筆者も未だ全文を読んだ訳ではない)、今週は同書をめぐる米国政界の動きについて触れたい。尤も、渦中の人であるSバノン氏は今や、同書への対応をめぐり「後悔している」と表明したそうだ。意外に骨のない男なんだな、と思う。
写真)『Fire and Fury: Inside the Trump White House』
マイケル・ウルフ(Michael Wolff)著
それはともかく、事の起こりは1月3日の英紙Guardianの記事だった。毀誉褒貶相半ばする米国人ジャーナリスト・マイケル・ウルフ(Michael Wolff)の著書『Fire and Fury: Inside the Trump White House』の概要が報じられたのだ。ウルフは同書でトランプ氏の大統領としての資質につき実に辛辣に描いている。
写真)マイケル・ウォルフ氏
出典)ウィキぺディアコモンズ photo by Andrew Dermont
中でも強烈だったのが元最側近のスティーブ・バノン氏のコメントだ。バノン氏は引用される形で、「(トランプ氏の娘婿であるクシュナー氏と息子であるドナルドJRを含む)トランプ陣営幹部3人が昨年6月、トランプタワーの25階で、弁護士の同席もなく、外国政府関係者と会ったことは反逆的か非愛国的な行為だ」とまで言い放った。
これでワシントンは大騒ぎ、同書は即日売り切れの大ベストセラー。リベラル系メディアは鬼の首でもを取ったようにトランプ政権批判を垂れ流した。そのバノン氏が7日、一転してトランプ一族との関係修復に動いたようだが、内容的には事実上の降伏に近い。やはり2018年には何が起きてもおかしくない、と見るべきなのだろう。
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