NHKよ、「値下げ」しなさい
Japan In-depth / 2018年1月18日 12時39分
安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト)
「編集長の眼」
【まとめ】
・NHKが3か年計画を発表。受信料値下げは3年で174億円と小規模。
・剰余金もあり、無駄を省けば「値下げ」は可能。
・公共放送としての役割も議論すべき。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=38088でお読みください。】
しらっと「値下げ」を見送ったのに呆れた人も多かったのではないか。
正確に言うと「見送った」訳ではない。その中身に呆れたという話だ。
■3か年計画
NHKが3か年計画を発表した。その中で、従来からの懸案である受信料の「値下げ」(受信料負担軽減策)については、「奨学金受給対象などの学生への免除」(3か年50億円)など3か年で総額174億円の規模にとどまっている。(図1)
図1)受信料負担軽減策の概要
出典)NHK経営計画(2018-2020)
各年度では2018年度が6億円、19年度が74億円、20年度で94億円、合計3か年で174億円という規模の小ささだ。
これは到底「値下げ」とは言えないだろう。
そもそも「値下げ」論議は、NHKの籾井勝人前会長ら執行部が2016年11月8日の経営委員会で、50円程度の値下げを提案した時からくすぶっている。NHKの子会社13社の利益剰余金は、平成27年度末時点で計948億円もある。会計検査院がこの利益剰余金をNHKへ還元せい、と指摘したことに対応し、17年度子会社による配当額が総額84億円になった経緯がある。それでもなお剰余金は残っており、「値下げ」余力は十分にあるといってよい。
そして、本体の受信料収入も増加傾向にある。NHK自身も3か年計画で負担軽減策を加味してもオリンピックに向け受信料収入は増え続け、20年度には7100億円に達する計画だ。(図2、図3)
図2)NHK受信料収入の推移と負担軽減策による影響
出典)NHK経営計画(2018-2020)
図3)NHK 収支計画(一般勘定)
出典)NHK経営計画(2018-2020)
NHKは4K・8Kスーパーハイビジョンやインターネットサービスなどに財源を重点的に配分するとしているが、安定的に受信料収入がある公営放送として、繰越金924億円(17年度)というのはいかにも多すぎるのではないか?
「値下げ」が出来ない理由はどこにも見当たらない。
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