繰り返される朝日の歴史乱用
Japan In-depth / 2018年1月26日 11時3分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・「天声人語」、大逆事件の犠牲者が名誉市民になる動きを「「共謀罪」法、そして改憲への動きが背中を押したようだ。」と書いた。
・コラムは「改正組織犯罪処罰法や憲法改正への動きは大逆事件での国民弾圧と同じ」と主張しているのは明らか。
・こうした手法は、歴史悪用の政治プロパガンダといえよう。
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またまた歴史を政治利用しての朝日新聞の論敵の悪魔化である。1月22日の朝刊一面コラム「天声人語」(リンクはWeb版)にそのプロトタイプが載っていた。悪魔扱いをする対象はもちろん安倍晋三政権、いや日本国政府と評してもよい。
歴史上、悪と判定された実例を持ち出して、条件のまったく異なる現在に押しつけ、自分の気に入らない相手にその「悪の歴史」のレッテルを貼り付ける。実在しない悪を作り出す悪魔化の攻撃法ともいえよう。朝日新聞の大好きな手法なのである。
だが歴史の乱用による悪魔化も、こう頻繁で、こう粗雑だと、鼻につき、ツユほどの説得力も感じさせなくなる。朝日人士にはもうちょっと斬新な発想はないのだろうか。
今回の天声人語は以下のような書き出しだった。
≪すさまじい思想弾圧だった。明治後期、1910年の大逆事件では、全国の社会主義者ら数百人が摘発され、12人が死刑となった。天皇暗殺を企てたとされたが、大半はでっちあげだった。刑死した一人が名誉市民になると聞いて和歌山県新宮市を訪れた≫
これだけ読んだだけでも、このコラムの筆者の意図がもう歴然とする。明治時代の当局の大逆事件での弾圧を平成時代の安倍政権の行動に重ね合わせて、同じことをいまなそうとしていると、説くのだろう。
その歴史の乱用ではまず「すさまじい思想弾圧」「数百人が摘発」「12人が死刑」「天皇暗殺」「でっちあげ」などなど、おどろおどろしい言葉を並びたてる。まさに悪魔のような所業というわけだ。そのうえで話を現在に持ってきて、いまの日本政府への攻撃にすりかえるのだろう。そんな予感をもって、読み進むと、まさにそのとおりだった。手あかのついた、というのはこんな一文のためにあるのだろう。
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