南相馬の医療崩壊 求められる改革
Japan In-depth / 2018年2月7日 10時32分
特に深刻なのは、物価が高い都市の総合病院だ。少子化が進み、不採算となる小児科や産科を抱え、「選択と集中」することが出来ない。日本医大、東京女子医大、聖路加国際病院、亀田総合病院などが赤字経営であることは有名だ(参考:プレジデント、FACTA)
最近、三井記念病院が債務超過に陥っていることも明らかとなった(参考:選択 2018年1月号))。高い医療レベルを維持するには、投資が欠かせない。赤字病院には余裕はない。このような病院は、医学生は避けるべきだ。
ところが、現実は正反対だ。昨年のマッチングでも聖路加国際病院や亀田総合病院が上位に入った。中間発表では、それぞれ定員24人、28人に対して、59人、48人が応募した。投資余力のない病院に大勢の若手医師が集まっている。一般企業ではあり得ないことだ。
この状況は都心の名門病院に限った話ではない。地方では、別の形で若手医師が不適切な病院に配置されている。東日本大震災以降、私は福島県浜通りの医療支援を続けている。震災からもうすぐ7年となるが、健全な形で病院を維持していくには、つくづく「経営」が重要だと痛感する。
現在、浜通りの医療機関で急成長しているのは、いわき市内の「ときわ会グループ」だ。その中核が常磐病院(一般床150、療養床90)である。泌尿器科・人工透析を中核としたグループで、1982年に常盤峻士医師がいわき市内に「いわき泌尿器科病院」を開設したのがきっかけだ。その後、成長を続け、2010年4月にはいわき市立常磐病院を譲り受けた。現在、グループ全体で2つの病院、一つの有床診療所、5つのクリニック、さらに介護施設、訪問看護ステーション、幼稚園なども経営している。
筆者が知り合ったのは、東日本大震災の時の透析患者の搬送をお手伝いしたことがきっかけだ。これ以降の躍進は目覚ましい。震災前8名だった常勤医は、この4月には25名になる。うち内科医は9名だ。このグループの特徴は、経営が安定し、しっかりと投資していることだ。それが、医師集めに貢献している。
震災後、即座に内部被曝検査(ホールボディーカウンター)を導入した。ロボット手術であるダヴィンチシステム、PET-CTがん検診、さらに加藤茂明・元東大分子生物学研究所を雇用し、基礎研究室まで立ち上げた。2017年度は32本の英文論文・レターが英文医学誌に掲載された。これはやる気のある医師や看護師にとって、大きなアピールになる。
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