南相馬の医療崩壊 求められる改革
Japan In-depth / 2018年2月7日 10時32分
写真)ホールボディーカウンター
出典)Palantir-palantir
昨年は前徳島県立中央病院長の永井雅巳医師が赴任した。この4月には日本の血液界を代表するような教授が、大学を辞してときわ会に移籍する。ほか数名の二十代、三十代の医師がやってくる。彼らは「ときわ会なら、新しいプロジェクトにチャレンジできる」という。
人口34万5209人(2018年1月1日現在)のいわき市で、医師は不足している。人口10万人あたりの医師数は199人で、長崎県の五島列島より少なく、対馬と同レベルだ。世界的にはリビアやメキシコと同水準だ。成長の余地が残されている地域に、優秀な経営陣がいるのだから、全国からやる気のある医師が集まるのもむべなるかなだ。
対照的なのが、南相馬市立総合病院だ。同院が位置する相双地区の人口10万人あたりの医師数は110人。全国平均の半分以下で、世界的にはアルバニアやチリと同レベルだ。この地域の医療が崩壊の瀬戸際にある。問題は内科だ。家庭の都合などで、常勤医師の退職が続いた。今春から常勤の内科医は1名となる。
昨年4月、同院の院長に就任した及川友好医師は医師確保に努めるが、問題は容易に解決しそうにない。その理由は、南相馬市立総合病院の経営状態が悪いからだ。
写真)南相馬市立総合病院
出典)南相馬市立総合病院HP
2016年度の決算では、医業収益は約34億1744万円なのに、医業費用は42億5471万円もかかっている。補助金・交付金収入は4億7454万円だ。
さらに固定比率(固定資産/自己資本)は351%、固定長期適合率(固定資産/自己資本+固定負債)は134%もある。自治体病院の平均は71%だ。2017年に完成した脳卒中センターなどの固定投資(総事業費58億円)が大きくのしかかっている。
この状況で、さらに人工透析を始める(8床)。1月21日の市長選挙で敗退した桜井勝延市長の肝煎りの政策という。これは、おそらく病院のためにも、患者のためにもならない。人工透析クリニックの経営者は「この規模で始めても、黒字にはならないし、医師や看護師は確保できない。医療事故のリスクがある」という。
南相馬市立総合病院がやるべきは、病院が持続可能なように、診療科を見直すことだ。その際、地域から何を求められているか、具体的に考えるべきだ。
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