ISはイスラムのオウム イスラム脅威論の虚構 その2
Japan In-depth / 2018年2月8日 10時50分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
林信吾の「西方見聞録」
【まとめ】
・「イスラム原理主義」にはサラフィー主義とワッハーブ主義がある。
・異教徒を皆殺しにしていいとするISは「オウム真理教」と同様。
・手前勝手な「教義」をかざし世界平和を乱すISら過激派に未来はない。
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昨今わが国のマスコミでは、数々のテロ事件を引き起こしたイスラム過激派について「イスラム国」という名称を用いず、ISと略称で呼ぶようになっている。イスラミック・ステートの頭文字なのであるから、同じ意味なのだが、イスラム国と呼ぶと国際社会が承認した国家であるかのごとき誤解を招く、ということであるらしい。一方、彼らの思想について「イスラム原理主義」と呼ぶのは相変わらずだ。
▲写真 ISの兵士 出典:Wikimedia Commons Author: Alibaba2k16
今回は、イスラム原理主義と呼ばれる思想に、実はふたつの流れがあるということを知っていただきたい。ここが理解できないと、どうして自爆テロのような行動が繰り返されるのか、まったく理解できないままに終わってしまうし、イスラム一般に対する誤解を解くこともできないであろう。
話の順序として、まずはイスラムがどうして急速に勢力を広めることができたのか、という点から見てゆかねばならない。キリスト教がローマに伝わってから、国教の地位を得るまでに、当初の過酷な弾圧の歴史を経て、400年ほどが費やされたわけだが、イスラムはその半分にも満たない時間で、中東から北アフリカ一帯を席巻した。
ここで少し余談にわたるが、「キリスト教」「イスラム」と使い分け、イスラム教と表記しないのは、現代の研修者の間では、イスラムは単なる宗教ではなく、生活のあり方全般を規定する、文明の一形態と考えるべきである、との認識が広まってきているからである。
話を戻して、なぜイスラムが急激に勢力を拡大し得たのかと言えば、キリスト教団が殉教を美徳とする精神性にのみ教団発展の原動力を求めたのに対し、イスラムの方は、まずもって預言者ムハンマドという人が、政治的・軍事的な才能に恵まれており、ある時は権力者と良好な関係を築いて支援を取りつけるかと思えば、またある時は信者を武装させて強大な敵を打ち負かす、という行動が取れたからである。教友と呼ばれる初期の高位の信徒たちは、同時に優れた軍事指導者でもあった。
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