国産ミサイルはいらない
Japan In-depth / 2018年2月9日 10時44分
▲写真 エグゾゼAM39 出典:© Marine Nationale / CC Maloux / 2012
さらに亜音速ミサイルは最終段階でアクロバティック機動も行う。大蛇行し、急上昇後に急降下して突入する。これもレーダ等にとって鬼門だ。原理的に目標の大角度変化には弱いのでロストしてしまう。
そのうえJSMはステルス性も高い。完全ではないが高度なステルス性を持つとされている。これもレーダ等にとってはさらに苦手である。もともとわかりにくい目標がさらに見えなくなるのだ。おそらく、超低空目標探知の切り札となるドップラー探知も通用しない。またミサイルが画像認識誘導を採用している点も厄介である。ミサイル側から電波も出さないため逆探知も通用しない。
つまり、軍艦はJSMにはお手上げとなるのだ。ASM-3は所詮は速いだけだ。何発かは取り逃がすだろうが今までのシステムでも探知・迎撃できる。だがJSMは探知もできない。あるいは探知できても電波誘導式のミサイルでは迎撃できないのである。
■ ASM-3は使い勝手が悪い
ASM-3はJSMに劣る。
その不利の第3は汎用性の低さだ。ASM-3は使いにくい。JSMや従来の対艦ミサイルのように「とりあえず搭載しておき、何か発見すればとりあえず発射する」ような雑な使い方には向かない。
・ 小型艦艇も目標となる
対艦ミサイル比較的手軽に発射される武器である。探知目標があり敵と判断すればとりあえず発射する。
実戦でもそうだ。中東戦争、印パ紛争、フォークランド紛争、イランイラク戦争、米国とリビアのシドラ湾事件でも雑に発射されている。特に「目標が何か」を把握してから発射されていない。
この点で価格が高く重量が重いASM-3は不便である。重量200トン程度の高速艇や漁船を転用したような哨戒艇に使うには無駄が大きい。そのうえ数も積めないので気軽は撃てない。
・ コンセプトから誤っている
つまりはコンセプトが誤っていたのだ。ASM-3は強力な軍艦を沈める超音速ミサイルとして開発された。今では中華イージスや中華航母への切り札と考えられている。
だが、そのようなミサイルは普段づかいには役立たない。実際には安価な小型艦艇や輸送艦、あるいは商船も目標としなければならないからだ。
それなら安価な亜音速ミサイルに統一し多数用意したほうがよい。普段使いに便利である上、それで本番でも困らない。強力な艦隊が相手でも従来の対艦ミサイルでも100発、200発あるいはそれ以上を同時発射すれば対応不能にできる。それがJSMならより少ない数でも敵の対応能力を飽和できるだろう。
この記事に関連するニュース
-
露、ウクライナに発射の中距離弾道ミサイルを「量産化」 プーチン氏、迎撃は不可能と強調
産経ニュース / 2024年11月23日 20時2分
-
ロシア新型中距離弾、実戦下での試験継続 即時使用可能=プーチン氏
ロイター / 2024年11月23日 5時6分
-
ロシア発射の新型ミサイル 最高速度はマッハ11 ウクライナの情報機関
日テレNEWS NNN / 2024年11月22日 21時20分
-
迎撃不能…プーチン氏が警告 “音速の10倍”新型の中距離弾道ミサイルでウクライナを攻撃
日テレNEWS NNN / 2024年11月22日 20時10分
-
自衛隊の「宇宙船みたいな新兵器」ついに試作へ!? “未来の海戦”で重要な役割 対艦ミサイルも発射可能
乗りものニュース / 2024年11月6日 11時42分
ランキング
-
12025年に思い出が消える!?「ビデオテープが見られなくなる」問題【THE TIME,】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月27日 9時0分
-
2東京・文京区のマンション火災で2人死亡、火元は猪口邦子参院議員宅…夫と娘1人と連絡取れず
読売新聞 / 2024年11月28日 1時11分
-
3輪島市など震度5弱、住民不安「電柱倒れるのでは」…元日とは別の断層の可能性
読売新聞 / 2024年11月27日 21時54分
-
4国民民主・玉木氏、異例の官邸訪問=石破首相に原発新増設を要望
時事通信 / 2024年11月27日 20時9分
-
5出品者に情報提供求める=アマゾンジャパンの独禁法違反―公取委
時事通信 / 2024年11月27日 19時31分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください