トランプ政権の正しい読み方
Japan In-depth / 2018年2月10日 15時52分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・トランプ政権への現状認識を曇らせる”好き、嫌い”。
・政権への実害をもたらさなかった「暴露本」。
・驚くほどの支持を得た一般教書演説。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-deptのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=38385でお読みください。】
アメリカのドナルド・トランプ大統領も就任以来、2年目へと入った。同大統領はますます活発に動いている。日本側のいわゆる識者たち、そして主要メディアによる「トランプ政権の崩壊」や「トランプ大統領の弾劾」の予言はみごとに外れたわけだ。トランプ大統領が大統領として健在であり、いまのところ退陣や政権崩壊の兆しはないことがあまりに明白だからだ。
では日本側でのアメリカ通とか、識者とされる向きはなぜトランプ政権の現状や展望をこれほど大きく見誤るのだろうか。このあたりでトランプ政権の読み方の復習が必要なのではないか。
ワシントンと東京を往来する私からみて、日本側でのトランプ大統領への反応には大きく分けて3つのレベルがある。
第一はまず個人としての好き、嫌いである。トランプという人物を人間として、あるいは政治家、ビジネスマンとして、好きか、嫌いか、という基準だといえる。この次元では好悪の感情が最大の要因となる。とにかく好悪の情だから、理屈も損得もない。
日本の識者の大多数はこの点ではトランプ氏が嫌いなようにみえる。「彼はとにかく愚かだから」「無知だから」という批評はこの次元で出てくるといえよう。
第二は、政策への反応である。トランプ氏が大統領として打ち出す政策に反対するか、同意するか、あるいは内容をどう意味づけるかという基準だといえる。この次元でも好悪の感情は要因となろうが、少なくとも主眼はトランプ大統領が打ち出すTPP(環太平洋パートナーシップ)協定離脱や法人税率の大幅引き下げという具体的な政策への判断となる。特定の政策がアメリカにとって、あるいは他の諸国にとって、どんな影響を及ぼすかを踏まえての政策の判断となる。
▲写真 TPP首脳会合 平成27年11月18日フィリピン共和国・マニラ 出典:内閣官房
▲写真 減税法案の議会通過を祝うトランプ大統領 flickr : The White House
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