Amazon Goに未来はあるか?
Japan In-depth / 2018年2月11日 22時0分
岩田太郎(在米ジャーナリスト)
「岩田太郎のアメリカどんつき通信」
【まとめ】
・Amazon Goは“小売帝国”建設への重要要素。
・「省力化」「利便性」を超える真の狙いは“顧客データ”。
・小売業界への脅威、労働者の嫌悪を「信頼」に変えていけるか。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=38421でお読み下さい。】
米国西海岸の北西部、エメラルドシティの別名で知られるIT先進都市シアトルに、またひとつ新しい観光の聖地が誕生した。レジのないコンビニ、「Amazon Go」である。無人化店舗がどのようなものかを確かめようと押しかける客で、連日大賑わいだ。
▲写真 Amazon Go店内 2018年1月 シアトル Photo by Vegetable6
だが、米国をはじめ中国などでもレジレス店舗はすでに存在するため、コンセプト自体は特に珍しいわけではない。では、何が違うのか。
社会にディスラプションと革命を次々に起こすアマゾンが手掛けるAmazon Goであるからこそ、未来の無人化店舗の「本命」テクノロジーになる、そして小売・物流・金融などあらゆる分野でアマゾンが世界を支配するようになる重要なステップだと見られているところが、特徴的なのだ。
■ ついつい買い過ぎ?
店舗の仕組みとしては、スマホにダウンロードした専用アプリのQRコードで入店した個々の人物が商品を手に取る動きを、天井に埋め込まれた無数のカメラとセンサーで一挙手一投足に至るまで把握し、アマゾン・アカウントに登録された利用者のクレジットカードに購入代金を請求する。棚に戻した商品に対しては請求されない。
現金もクレジットカードも不要なAmazon Goでは、手持ちのキャッシュが消えてゆく「痛み」を感じることがない。だから、ついつい買い過ぎてしまうのだと、専門家は解説する。一方、普及すれば、来店客の多くが無人化された未来的で無機質な店舗コンセプトを嫌う可能性も指摘されている。
客の行動はすべて把握されており、商品がカメラとセンサーの目を逃れることはできない。そのため理論上は万引きができない。ただ、個人と商品の間の動きで計算を行うシステムであるため、棚から品物を取り出した子供が、母親にその品物を渡すなど、個人と個人の間の商品の動きには対応しておらず、そのような行動は店内では禁止されている。
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