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特別養子縁組のこれからを考える

Japan In-depth / 2018年2月21日 15時2分

写真)精神科医師・福岡市こども総合相談センター所長 藤林武史氏 
(C)Japan In-depth編集部

 

続いて、精神科医師で福岡市こども総合相談センター所長の藤林武史氏が「特別養子縁組の現状と課題:民法改正への議論に向けて」と題し基調講演を行った。児童養護施設に入所している児童29979人のうち、6割の18035人が0~6歳の時に入所しているという統計(平成25年時)結果を示した。

 

さらに、この6割のなかで6558人の子どもが乳児院からの継続入所である。藤林氏は「改正児童福祉法(2016年)、里親委託ガイドライン(2017年)を受け、養子縁組が増えるはずだが、現状はそうなりにくい」と懸念を示した。

 

藤林氏は、これまで特別養子縁組を保障されていなかった要因の一つに「”パーマネンシ―”の認識が関係者に希薄である。」ことを挙げ、子どもが永続的な家族関係を続けられる環境を整えることの重要性を指摘した。さらに、30年前から変わっていない法律が現状と合っていないという法的要因も指摘した。

 

そして法制度上の問題点を5点挙げた。

 

①実親家庭の元に復帰する可能性がない子ども、あるいは、家庭復帰が不適切でその養育環境の改善が見込めない子どもが、代替養育(施設・養育里親)に長期間措置されている。

 

②このような大勢の子どもたちに対しては、本来的には、永続性を保障するため、児童相談所は特別養子縁組の機会を保障すべき。

 

③民法上は、父母が行方不明や父母による虐待、悪意の遺棄、その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合は裁判官の判断により認容はできるとなっているが、申し立てを行うのは養親候補者であり、児童相談所長は申し立て権を持たない。

 

④養親候補者が申し立てたとしても必ず認められる保証はなく、養親候補者や子どもの心理的負担は大きい

 

⑤その結果、父母の同意がない場合は、特別養子縁組の機会が保障されていない場合が多い。しかも、年齢制限があり、父母の同意を待っている間に6歳、8歳を超えてしまう。

 

藤林氏は「特別養子縁組は親の同意によって成立し、原則6歳未満である。断念したケースも年間270件(平成28年調査)ある。現在、年齢要件を引き上げること、実父母の同意等の成立要件を2段階手続きにすることが国の検討会で検討されている。」と述べた。

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