欧州・中国の言行不一致 米国産石炭輸入で
Japan In-depth / 2018年3月1日 12時24分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・米のパリ協定離脱を非難してきた国が、温暖化の元凶ともされる米国産石炭を買っている。
・米国産石炭の海外輸出は約9600万トンとなり、一昨年からは30%増となった。
・米共和党議員の一人は、「ひどい言行不一致」と非難。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapanIn-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=38700でお読み下さい。】
地球温暖化の主要な原因は石炭の消費だとされる。アメリカのトランプ政権が温暖化防止をうたうパリ協定から離脱したとき、欧州諸国や中国は激しく非難した。だがその欧州諸国や中国がトランプ政権下のアメリカからの石炭の輸入を急増させた。この実態はアメリカ側からは「偽善」とか「不都合な真実」と皮肉られている。
アメリカのトランプ政権はオバマ政権の「経済よりも環境」という感じのエネルギー規制策を大幅に変えて、石炭生産への厳しい制約をも解除した。その結果、2017年のアメリカの石炭生産は約7億7200万トンとなり、2016年からは約4400万トンの増加となった。連邦エネルギー情報局の発表である。
図)アメリカの石炭生産量・消費量サマリー
出典)EIA
ところがその石炭増産の大部分がアメリカ国内での消費よりも諸外国への輸出となったというのだから興味深い。昨年の石炭のアメリカ国内での消費は7億2000万トンに留まり、一昨年からは7800万トンの減だと判明した。だが昨年のアメリカ産石炭の外国への輸出は約9600万トンとなり、一昨年からは30%もの増加となったのだ。
図)アメリカの石炭輸出入・消費量
出典)EIA
アメリカ石炭の輸出の内訳をみると、3100万トンがアジア諸国へと、一昨年のほぼ倍増だった。そのなかでは中国向けが最大で約300万トンと、一昨年から20数万トンの増加だった。欧州向けは2017年で全体が4000万トン、2016年分を1300万トン上回っていた。欧州諸国のなかではフランス、ドイツ、イタリアが輸入量の増加が顕著だった。(参照データ:EIA)フランスとイタリアは17年にはともに前年度の2倍近くの石炭をアメリカから輸入した。ドイツも前年比は40%増だった。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
焦点:「トランプ2.0」に備えよ、同盟各国が陰に陽に働きかけ
ロイター / 2024年4月25日 15時33分
-
「もしトラ」?「ほぼトラ」?「トランプ2.0」に身構える世界【Bizスクエア】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年4月24日 6時30分
-
「日米蜜月」アピールと裏腹に進む「外交の新潮流」 内政に翻弄される岸田首相の「次なる外交課題」
東洋経済オンライン / 2024年4月16日 8時30分
-
杉山大志 直言!エネルギー基本計画 G7の「CO2ゼロ」は不可能、日本も「エネルギー・ドミナンス」で敵対国に対峙せよ 「トランプ大統領」復活なら米はパリ協定離脱
zakzak by夕刊フジ / 2024年4月14日 10時0分
-
米ボルティモアの港湾事故に伴い、石炭輸出が減少見込み(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月10日 14時30分
ランキング
-
1森元首相「私を陥れる作り話」 月刊誌で反論、還流関与を否定
共同通信 / 2024年4月26日 21時43分
-
2“防犯カメラが捉えた一部始終”ハサミの片方の刃を手にした男が、突然居合わせた男性客を襲う…オープン初日の飲食店内は騒然 殺人未遂の疑いで男を逮捕
北海道放送 / 2024年4月26日 19時26分
-
3【速報】重要指名手配犯 上地恵栄容疑者(当時49)が死亡 19年前の三鷹市の殺人事件… 警視庁
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年4月26日 20時51分
-
4カスハラ「対応いたしません」=厳格な方針発表―JR東グループ
時事通信 / 2024年4月26日 20時16分
-
5橋下徹氏が証人として出廷「プライバシーに関わり削除」 市長時代の職員との個別メールめぐる裁判
ABCニュース / 2024年4月26日 18時9分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください