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福島とアジアを繋ぎたい 若手医師の思い

Japan In-depth / 2018年3月2日 10時23分

また、大学卒業後、結婚する同級生の森田知宏君(写真1)とともに『朝まで生テレビ』に出演し、当時、厚労副大臣を務めていた大村秀章氏(現愛知県知事)に自らの意見を伝えたこともある。夫婦ともに、医学の枠に留まらず、社会に関心をもち、行動する学生だった。

▲写真1 東大医学部3年生の時。左から藤岡将氏(同級生、現南相馬市立総合病院)、森田麻里子氏、森田知宏氏、尾崎章彦氏(東大医学部の先輩、現大町病院) ©上昌広

2012年に大学卒業後は、夫とともに千葉県鴨川市の亀田総合病院で初期研修を終えた。その後、宮城県の仙台厚生病院に麻酔科医として就職。仙台厚生病院は、循環器・呼吸器・消化器に特化した専門病院で急成長中だ。目黒泰一郎理事長のもと、麻酔科の臨床経験を積むと共に病院のマネジメントも学んだ。

最近、社会問題となっている新専門医制度について研究し、2016年3月10日には朝日新聞の『私の視点』に「専門医の新制度 地域医療に負の影響も」という文章と、2017年2月には米国の『卒後医学教育雑誌』に「高齢化社会では医学専門教育の再考が必要」という論文を発表した。一連の彼女の文章をきっかけに、この問題は社会的議論へと発展した。2017年2月20日には、塩崎恭久厚労大臣(当時)が、彼女とその仲間3人を呼び、専門医教育について意見交換した。

ちなみに、この時期、夫である森田知宏氏は福島県の相馬中央病院で内科医として勤務する傍ら、東京大学医学系研究科の博士課程の大学院生として、東日本大震災が高齢化した地域コミュニティーに与える影響を研究した。2014年4月の入学以来、筆頭として9報、共著として20報の英文原著、およびレターを発表した。二人は、新婚早々、別居生活を送りながら研鑽に励んだ。

森田麻里子さんに戻そう。彼女は、2016年4月に仙台厚生病院から南相馬市立総合病院に移籍し、麻酔科医として勤務した。2年ぶりに相馬市内で同居することとなった。

彼女の人生を変えたのは、16年7月に妊娠が判明したことだ。待ちに待った妊娠だった。17年1月より産休に入り、3月8日、長男の和希君を出産した。その後、9月から南相馬市立総合病院に復職するが、彼女の関心は変わった。

▲写真 現在の森田一家 ©上昌広

■ 不足する正確な育児情報

彼女は「母となって育児に関する情報を集めました。ところが、巷に溢れる育児情報の質が酷いことに驚きました」という。ネットの情報が玉石混交であるのは言うまでもない。彼女は、医師が書いた本を読んだが、「極端な記載が多かった」という。例えば、「母乳の成分は母親の食事では変わらない」という記載だ。実際は食事によって、若干変化する。微妙な変化が赤ちゃんの食欲にどのような影響を与えるかは、十分にわかっていない。

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