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福島とアジアを繋ぎたい 若手医師の思い

Japan In-depth / 2018年3月2日 10時23分

このような主張をする医師の中には、母親が何を食べても、母乳の味はほとんど変わらないのだから、特定の食事(和食が多いが)を母親に勧めるのはとんでもないと主張する。育児中の母親相手に特定の商品を売りつけようとする輩に対する反発があるのだろうが、これではイデオロギー論争で説得力がない。

彼女は「自分の子どもには、出来るだけのことをしたい」と考え、育児に関する情報を自ら調べるようになった。調べてみて驚いたのは、世界では育児に関する研究が進んでいるのに、日本のママにはほとんど伝わっていないことだ。

彼女は、自分自身が関心をもったテーマについて、医学論文を調べ、医療ガバナンス学会が発行するメルマガ『MRIC』を中心に、論文を発表していった。研究内容は「母乳の味はお母さんの食事で変わる」や「ねんねトレーニングは子どもの脳に悪影響?」という感じだ。

 

■ 育児経験を生かした働き方へ

一連の論文は関係者の注目を集めたようだ。彼女が執筆を始めてほどなく、某出版社から新書のオファーが来たし、幾つかのメディアから取材の問い合わせもあった。

彼女の文章が支持を集めるのは、取材が緻密だからだ。一つの文章を纏める上で、要約だけのものも含め、20-30報の英文論文に目を通している。「医者になって一番論文を読んでいます」という。

赤ん坊を抱える彼女は、従来のように病院で残業や当直をこなすことは出来ない。自宅でできる「仕事」として、研究・執筆活動のウェイトを増していったのは自然な流れだろう。やがて、「エビデンスに基づく育児」を一生の仕事として取り組みたいと考える様になった。

そこからの行動力は見事だった。昨年10月には南相馬市立総合病院の常勤から非常勤に雇用形態を変更した。週に3日の勤務で、収入も減るが、「エビデンスに基づく育児」に関する仕事を推し進めるため、公務員の身分を離れることとした。

さらに「Child Health Laboratory (CHL)」を立ち上げ、育児で悩むお母さんたちに有料で相談に乗ることとした。ブログも始め、ハフィントンポストで連載も開始した。まだ認知度は低いが、ユーザーの評判は上々のようだ。例えば、ホームページには「娘はその後も順調で、少しずつですが自分で眠れるようになってきました。昼寝も以前より時間がかからず寝れるようになり、トータルで4時間寝るときもあるほどです!森田さんと出会っていなければおそらくずっと夜間の覚醒に悩まされていたかと思うと恐ろしいです。」というコメントが掲載されている。

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