ISに「鈴木さん」を紹介したい イスラム脅威論の虚構 その5
Japan In-depth / 2018年3月3日 19時0分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
林信吾の「西方見聞録」
【まとめ】
・メッカ大巡礼に匹敵する規模の初詣に見る日本の宗教観の良さ。
・神道や仏教が生活に根差しているが故の「私は無宗教」。
・日本の「人に優しい」宗教観を知ればイスラム圏の状況も変わる。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合は、Japan In-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=38745で記事をお読みください。】
イスラムの聖地メッカは、信者でない者は立ち入り厳禁なので、有名な大巡礼も我々日本人は、もっぱら映像でしか見ることができない。毎年、200万人がメッカのカアバ神殿に参拝する図は、映像だけでも壮観である。
だが、ご存じだろうか。人数的にこれを大きく超える宗教行事が、日本で行われていることを。明治神宮の、正月三が日の初詣客は、例年320万人以上。他に、首都圏だけでも川崎大師や成田山新勝寺など、全国ともなると、メッカ大巡礼に匹敵する200万人以上の初詣客が集まる神社仏閣は、両手の指に余る。
▲写真 明治神宮 初詣の様子 2012年 Photo by 江戸村のとくぞう
さらに言えば、単一の宗教施設で年間の参拝客が世界一多いのは、東京の浅草寺なのだ。
▲写真 東京 浅草寺 宝蔵門 出典:浅草寺
……と、ここまで述べたところで、早くも「ちょっと待ってくれ」
といった声が聞こえてきそうだ。メッカの大巡礼と日本の初詣は、同列に論じられないのではないか。初詣に行く日本人の一体何割ほどが、信仰心に突き動かされて神社に参拝しているのか。浅草寺を訪れるのは大半が「参拝客」でなく「観光客」と呼ぶべき人たちではないのか。
こういう言葉が出てくる背景には、日本人の実に8割近くが「自分は無宗教」と考えている、といった現実があるのだろう。ただし、別の統計もあって、総人口1億2650万ほどのわが国において、各宗教法人の公称信者数を合計すると8億人を超えるという。なにしろ神社本庁だけで、信者数9000万人を超す(2012年の公表値)。
これはどういうことかと言うと、実は私自身、東京・板橋の実家で暮らしていた当時は、熊野神社の氏子でもあった。今では金剛禅総本山少林寺の僧籍を持つ、れっきとした仏教者だが、もし今でも実家にいたら、氏子会から抜けることはなかったと思う。
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