メイド虐待死で関係悪化 インドネシアvsマレーシア
Japan In-depth / 2018年3月8日 13時53分
大塚智彦(Pan Asia News 記者)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・マレーシア人雇い主によるインドネシア人メイドへの暴力が後を絶たない。
・インドネシア政府はマレーシアへのメイド派遣中止の構え。
・メイドを巡る2国の関係には感情的なしこりも背景にある。
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インドネシアとマレーシアの外交関係が悪化している。マレーシア国内でメイド(家政婦)として働くインドネシア人女性が雇用主のマレーシア人から受けた虐待が原因で死亡する事件が直接的な原因で、インドネシア政府は当面メイドのマレーシア派遣を中断する構えを見せ、マレーシア政府は「冷静な対応を」と呼びかける事態になっている。
インドネシア女性のメイドを巡る問題では、過去にもインドネシア側が同様のケースで派遣を一時中止したこともあり、インドネシア人のマレーシア人への嫉妬、対抗心という内面も絡み、深遠で複雑な問題の一面が浮かび上がっている。
■ 栄養失調で21歳インドネシア人家政婦死亡
2月10日、マレーシアのペナン州でメイドとして働いていたインドネシア人女性、アデリナ・イエミラ・サウさん(21)が衰弱しているのを隣人が発見、警察に通報した。警察に保護され、ブキット・ムルタジャム病院に収容されたアデリナさんは、翌11日、治療のかいなく死亡した。
医師の所見や死亡後の解剖によって死因が栄養失調、多臓器不全、貧血であることが判明。また隣人が「屋外のベランダで犬と一緒にアデリナさんが寝起きさせられていた」と証言したことなどから、警察は雇用主の36歳の女性とその義理の母(66)など家族3人の身柄を拘束、殺人容疑で調べを進めている。
写真)ブキット・ムルタジャム病院
出典)GoogleMap
これまでの捜査で、アデリナさんは約2カ月間十分な食事を与えられず、屋外で寝起きを強要されたほか、腕には塩酸のようなものをかけられた跡があったという。
アデリナさんは、2014年9月まで正式な手続きを経てマレーシアでメイドとして働いていたが、一時帰国後は非公式仲介者の紹介でペナンの雇用主の家で働いていた。非公式業者を通したため正規の労働ビザも所持せず、年齢を偽装していた疑いも出ている。
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