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何のための東京五輪?その3 真の復興五輪たれ 東京都長期ビジョンを読み解く!その59

Japan In-depth / 2018年3月21日 23時29分

何のための東京五輪?その3 真の復興五輪たれ 東京都長期ビジョンを読み解く!その59

西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

「西村健の地方自治ウォッチング」

【まとめ】

・結果オーライじゃない五輪を。レガシーはどこまで議論されたのか?

・サスティナビリティ五輪からもほど遠い。

・3.11から7年。復興五輪の理念はどこにいったのか?

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真の説明と出典のみ記載されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=39072で記事をお読みください。】 

 

■ 五輪の意義・価値

現代オリンピックの精神は人生哲学であり、肉体と意志と知性の資質を高めて融合させ、均衡のとれた総体としての人間を目指すものだそうだ。人間の尊厳保持に重きを置いた、平和な社会を推進することにもある。

しかし、この精神は理解されているのだろうかと疑問になることも多い。日本社会や国民が想定している東京五輪の意義・価値というと・・・・

・施設・道路交通インフラなどの整備・更新 

・都市開発(湾岸エリア、競技施設周辺)

・経済効果・雇用増加(事前の土木・建設、イベント・PR/広告宣 伝、観光、スポーツ関連産業など)

・国内の盛り上がり、国威発揚、ナショナリズム高揚

・スポーツ振興・関心増大

・文化振興・国際交流

・コーチや選手育成システムへの称賛、故郷に錦を飾るお話

・お涙頂戴ストーリーでの全国民の感動

といったものだろう。精神的なもの、理念的なものを考えるのは苦手な国民だが、それにしても、「価値」について、評論家や有識者から問題提起も少ない。「盛り上がり」空気至上主義と言ったら言い過ぎだろうか。

それは仕方ないことかもしれない。しかし、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会はまっとうな大会ビジョンを掲げている。それは「スポーツには世界と未来を変える力がある」ということ、そして、「全員が自己ベスト」「多様性と調和」「未来への継承」という3つの基本コンセプトを掲げている(以下図1)。

▲図1 大会ビジョン

この理念は本当に素晴らしい。世界と未来を変える力としては、子供の夢、協力・チームワーク、健康、努力の尊さ、競技の高度な技術、人材育成、人の交流などなどスポーツの力がある(参照)。しかし、そうしたことは語られていない。そして、その理念がどのように具体的な活動や内容に反映されるのか、そして、言語化されて価値として人々が受け入れるか、社会に定着していくのか、も明らかになっていない。

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