1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

ウーバー自動運転車事故は不可避だったのか?

Japan In-depth / 2018年3月24日 12時8分

▲写真 アリゾナ州テンペ市マーク・ミッチェル市長 出典 テンペ市

こうした背景をもとに地元警察が歩行者の過失に予断を抱かせる発表を行うなか、米運輸省の道路交通安全局(NHTSA)や国家運輸安全委員会(NTSB)など連邦機関も今回の事故を捜査中であり、結論が出るのは先のことだ。

▲写真 今回のウーバー事故車両を調査するNTSB調査官 出典 NTSBTwitter

■ 指摘されるウーバー側の問題点

一方、車載カメラ映像と同時に公開された、車内のオペレーターのバスケス氏を撮影した動画では、彼が走行中ずっと下を向いて前方を見ていない様子がわかる。スマホか何かをいじっていたのかもしれない。これでは、緊急時に対応できない。何のためのオペレーターかわからない。ウーバーがオペレーターにどのような教育を行っていたかも捜査対象になろう。

さらに、バスケス氏が失業保険受給の際に虚偽の申請を行った罪と、武装強盗未遂の重罪に関して有罪判決を受け、4年間懲役した元受刑囚だったことも明らかになり、ウーバーのオペレーター採用基準や運用が正しかったのかも、議論されている。

人間の目は通常、今回の事故を記録した非赤外線車載カメラより高感度でよく見えるはずだ。このため、暗闇でもよく見える灯りであるハイビームを使い、バスケス氏がその役目である前方注意を励行しておれば、早い段階でハーツバーグさんに気付くことが可能になり、急ブレーキで事故が防げた可能性があるとの指摘が相次いでいる。

▲写真 事故直前の車載カメラ外側の映像 出典 テンペ警察

さらに、警察の車載動画のみの公開を「印象操作だ」と批判する声もある。自動運転システムで使用される障害物検知センサー「LiDAR」の認識状況や動作状況まで公開しないと、本当に不可避な事故なのかは判断出来ないからだ。

加えて、「自動運転車は人間が運転する車より安全」という広く主張される見解に基づけば、自動運転車は人の目と比較して、道を渡る歩行者がよりはっきりと「見える」はずだ。なぜ、はねる前に停止するか、速度を落とさなかったかが捜査の焦点となろう。

 

■ 「不可避論」の背景にあるもの

今回のアリゾナ州の事故で、トヨタなど一部の企業が自動運転車の公道でのテスト走行を中断した一方、多くの企業は実験を継続している。その大きな理由は、「自動運転車の方が人間の運転より安全になるはず」というものだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください