フィリピン南部、テロ組織再結集
Japan In-depth / 2018年3月30日 9時10分
大塚智彦(Pan Asia News 記者)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・比南部でイスラム国(IS)を支持するテロ組織再結集の動き、当局が警戒を強めている。
・マニラ首都圏での爆弾テロも計画か。
・比当局は、周辺国と連絡を密にし不審者の出入国、密航に目を光らせている。
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フィリピン南部ミンダナオ島などでテロ組織が再結集する動きが新たに確認され、国軍や警察など治安組織がテロへの警戒を強めている。新たな組織は2017年に同島のマラウィ市を占拠し、国軍と戦闘状態を続けたマウテ・グループの残党が中心となり、メンバー獲得、軍事訓練を通じて組織固めと拡大を計っているという。
▲地図 ミンダナオ島 出典 Google Map
フィリピン陸軍第1歩兵師団のロナルド・サスカノ少佐は新たな組織が「マラウィと同様のテロをフィリピン国内のどこでも起こす可能性がある」と警告した上で「組織は少人数のグループに分かれてマニラ首都圏に潜入を試みており、首都圏で爆弾テロも計画しているとの情報がある」との見方を明らかにしている。
事実、マニラの北部トンド地区の駅近くでマウテ・グループの残党2人がマニラ市警によって逮捕されている。自供によると2人はマニラ潜伏の指示を受けて地方から到着したところだったという。
■ 新組織は約300人で再訓練、再武装の動き
国軍や警察によると、新組織は少なくとも300人で構成され、その大半は戦闘中のマラウィ市から脱出したマウテ・グループのメンバーという。
リーダー格は名前が「アブ・トゥライフィ」とされ中東のテロ組織「イスラム国(IS)」を支持、仲間内からは最高指導者「エミール」と呼ばれているという。彼に関してはミンダナオ島出身、マウテ・グループを率いた指導者の1人で元アブサヤフ指導者のイスニロン・ハピロンの後継者の有力な1人というぐらいしか情報がない。
▲写真 元アブサヤフ指導者のイスニロン・ハピロン 出典 Federal Bureau of Investigation
ハピロンは治安当局がテロ容疑者として行方を追っていたところ、マラウィ市に潜伏しているとの情報があり、2017年5月に隠れ家を急襲して逮捕しようとしたところ情報が漏れて戦闘状態になり、地元出身のオマル・マウテ、アブドラ・マウテのマウテ兄弟が率いるマウテ・グループやISシンパなどが合流、本格的な戦闘状態になった経緯がある。
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