フィリピン南部、テロ組織再結集
Japan In-depth / 2018年3月30日 9時10分
▲写真 オマル・マルテ(フィリピン国家警察が出した手配書に掲載されたもの)出典 Philippine National Police
▲写真 アブドラ・マウテ(フィリピン国家警察が出した手配書に掲載されたもの)出典 Philippine National Police
国軍の鎮圧作戦の最終局面でマウテ兄弟、ハピロンは殺害されたといわれているが、その下で幹部クラスとして活動した10人の存在が知られているもののその生死や消息に関しては情報が乏しいのが現実という。
アブ・トゥライフィは2017年のマラウィ市占拠では現金を輸送する役割を担ったとされ、国軍による鎮圧前にマラウィ市を脱出したという。この際、民家や商店から多額の現金を奪取して脱出したため、その現金が新組織の再武装、再訓練の重要な資金源になっている、とみられている。
新たなメンバー獲得に関しては、ソーシャル・ネットワークをフルに利用したリクルート活動が活発化しており、マラウィ市占拠に加わり死亡したマウテ・グループのメンバーの家族や親せき、知人などを中心に「新組織に参加して復讐をしよう」などと呼びかけているとされる。
■ 新たな都市占拠も警戒
2017年5月に発生したマラウィ市占拠は、同年10月に国軍による鎮圧まで実に半年近くにわたりマウテ・グループとの戦闘状態が続いた。この間、ドゥテルテ大統領は同市周辺に戒厳令を発布し、厳重な警戒態勢を取るとともに、人質となった多数の住民の安全確保を最優先して作戦を進めた。同市占拠では治安部隊、住民、武装組織などの約1100人が死亡している。
▲写真 フィリピンミンダナオ島マラウィで反政府勢力と戦う政府軍 2017年6月14日 出典 The Philippine Information Agency
作戦が長引いた結果、軍の包囲網をかいくぐって脱出したメンバーも多く、再結集の動きに繋がったと治安当局はみている。このためドゥテルテ政権は昨年末までだった戒厳令をさらに2018年12月末日まで1年間延長して、徹底的な掃討作戦を継続している。
陸軍は新組織が都市部での爆弾テロと同時にマラウィ市占拠のような地方都市の武装占拠を計画している可能性を指摘している。その根拠として2月にはミンダナオ島中西部のコタバト州コタバトと同島北ラナオ州のイリガンで武装組織による都市占拠計画があり、未然に防ぐことができた、としている。
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