超強硬派ボルトン登場 どうなる「予防攻撃」
Japan In-depth / 2018年4月3日 17時27分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2018#14
【まとめ】
・トランプ政権、対外強硬派ポンペイオCIA長官とボルトン元国連大使を指名。
・米国では既にボルトン式「予防攻撃」の功罪が議論されている。
・中国と北朝鮮間の不信感は相当根深い。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのhttp://japan-indepth.jp/?p=39296でお読み下さい。】
今週はリトアニアの首都ヴィリニュスで原稿を書いている。先週の大事件は金正恩の「電撃」北京非公式訪問だったが、この点については後で詳しく触れたい。その前に、まずはこのバルト海三国の南端にある人口300万の美しい小国について書こう。あの「命のビザ」で有名な杉原千畝が赴任していた国といえばピンと来るだろうか。
写真)杉原千畝氏
出典)パブリック・ドメイン
Wikipediaには「ポーランド、ラトビア、ベラルーシと国境を接し」とあるが、実のところリトアニアは、ポーランドの北でバルト海に面したロシアの飛地領「カリーニングラード」とも国境を接している。この飛び地、元はプロイセンの首都があった所だが、戦後ソ連がちゃっかり占領し、現在に至っている。流石はソ連・ロシアだと感心する。
地図)リトアニアの位置
出典)パブリックドメイン
ちなみに1992年、当時のエリツィン大統領は「ヤルタ会議で議論した通り、この地はポーランドに譲渡されるべし」と述べたそうだが、96年にポーランドがNATO加盟を求めた途端、同発言は撤回された。ヴィリニュスは旧市街の美しい町だが、ベラルーシとの国境までは車で半時間程度、ロシアが入ってきたら彼らは本気で戦うのだろうか。
写真)ロシア連邦初代大統領 ボリス・エリツィン氏
出典)Presidential Press and Information Office
ウクライナの次はバルト三国だという向きもあるが、いずれにせよ、ロシアの凄いところは、一度軍事介入を決めたら、徹底的に実行すること。これに対し、トランプ政権はティラーソン国務長官、マクマスター補佐官を解任し、対外強硬派のポンペイオCIA長官とボルトン元国連大使を指名したが、新体制の戦略的方向性は見えてこない。
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