中国の脅威には断固対決する ハリス太平洋統合軍司令官証言 その5
Japan In-depth / 2018年4月6日 11時26分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・米軍との格差を急速に縮める中国、米は大幅な防衛力強化不可欠。
・中国の未来は国際秩序参加にあるが、むしろ秩序を侵食しつつある。
・米はするべき協力ができない場合、中国と断固対決する。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=39327でお読みください。】
アメリカの太平洋統合軍のハリー・ハリス司令官は3月15日、連邦議会上院の軍事委員会の公聴会でアメリカや日本にとっての中国の軍事的な脅威を詳述した。この証言の詳報を続ける。今回は連載の最終回となる。
【尖閣諸島の危機】
東シナ海での中国の行動ではまず第一に尖閣諸島への攻勢があげられる。尖閣諸島をめぐる日本と中国の緊迫は昨年はいくらかは落ち着いてみえたが、それでもなお尖閣を原因とする日中両国の争いの解決の見通しはまったくたっていない。日中両国がともにこの海域とその周辺に本格的な軍事力、沿岸警備力を投入するという現状は、誤った意思疎通、誤った計算から軍事面でのエスカレーションへと容易に進みうる危険な状態である。
中国は沿岸警備隊的な中国海警の艦艇を尖閣諸島の日本側の領海や接続水域に頻繁に送りこみ、日本側のその空域での航空機による監視飛行に抗議をも続けることによって、尖閣諸島に対する日本の施政権に執拗に挑戦している。
中国軍のその付近での軍事演習は尖閣諸島を標的とした軍事行動を顕著な特徴としている。その演習は尖閣諸島を物理的に占領して、その海域全体に対して海上封鎖を実施し、紛争海域を孤立させてしまうという内容をも含んでいる。
中国側は尖閣諸島の奪取という目的を明確にする手段の一つとして、各種の官営メディアを動員して、尖閣占領のための特定の軍事面での能力や活動にハイライトをあて、宣伝している。この宣伝は明らかにアメリカと日本への中国当局の意図の伝達だといえる。
▲写真 尖閣諸島・魚釣島 出典 外務省ホームページ
【尖閣問題へのアメリカの政策】
尖閣諸島についてのアメリカの政策は明確であり、しかもまったく揺らいでいない。尖閣諸島は日本の施政権下にある。日米安保条約の第五条はアメリカが日本の施政権下にある領域の防衛に加わることを規定している。アメリカは日本の尖閣諸島の施政権を奪おうとする、いかなる一方的な行動にも反対し、そのための措置をとる、という政策なのだ。
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