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強制不妊の犠牲者を救済する ワセダクロニクル

Japan In-depth / 2018年4月11日 9時33分

また、参加者が杉山氏に対し、「強制不妊の問題を報道を通じて初めて知った時どう感じ受け止めたか。」と質問した。杉山氏は「どこか他人事に感じていたのが正直なところである。今回初めて(強制不妊と自身の体験が)リンクした。」と答えた。その上で「自分事にするのは難しい。僕もマジョリティである部分はある。誰だって何かしらでマイノリティの部分はあり、それが集まって社会を構成しているだけである。マイノリティイシュー同士が共感して連帯していくことが大事である。」と強調した。

ワセダクロニクルの記事では、『もし、あなたが知らないあいだに子どもを産めない身体にさせられたら、どうしますか?』という一文で読者に問いかけている。これについて杉山氏は、「『もしあなたが当事者だったら』と言われてもハードルが高い。『もしあなたの大切な人が、子どもが』と言うと自分事にしやすいのではないか。」と指摘した。

次に、「マイノリティの問題に対する、読者側からの見方、当事者側からの発信の仕方とは」と質問があった。

これに対し渡辺氏は「全てはファクトだ。(発信者側は)これだけブログ等誰でも発信できる世の中で、ワセダクロニクルとしてはプロならではの手間暇と技術をかけて、ファクトで勝負する。一方、一番巧妙なフェイクニュースは本当のことを書かないことである。見る側の見極め方としては、何が書かれていないのかを想像することではないか。」と答えた。

一方、杉山氏は「身近に感じてもらう場所作りが大事だと思う。また、批判に批判を重ねるのではなく、提案に提案を重ねる。大きなビジョンを持ちながら目の前のことをコツコツやると結果的に大きく変わっていくのではないか。」と述べた。一方、加地氏は「トピックとして強制不妊の問題を話すよりも、実際に会った人のエピソードを話す方が浸透するのではないか。」と答えた。

最後に「ワセダクロニクルが強制不妊のシリーズで最終的に求めるものとは?」という問いに対して、渡辺氏は「犠牲者の救済。犠牲者に寄り添ってルポを書くだけでなくて、どうやれば国が動くのか。どうやったら事態が動くのかを考えている。それを達成するまで。」と答えた。

ワセダクロニクルの取材によって強制不妊の問題の本質が明らかにされつつある。誰もが何かしらマイノリティの部分を持っている。ならばこの問題は犠牲者だけにとどまらず、社会全体の問題として捉えることが重要なのではないだろうか。

 

注1)インターセックス

胎児の発育過程で、性分化と呼ばれる雌雄決定プロセスが正常に行われず、染色体による性に対して、社会的に性を区別する性腺、性器などの性徴が生まれつきあいまいだったり、統一されていない状態のこと。2006年に国際的な専門家会議がDSD(性分化疾患:Disorders of Sex Development)を正式な医学用語として提唱し、染色体、性腺、または解剖学的性が非定型である先天的状態、と定義した。参考:imidas

トップ画像:イベント中の登壇者と参加者の様子 ©Japan In-depth編集部

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