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イラク日報隠蔽問題の本質

Japan In-depth / 2018年4月20日 2時45分

その後2013年、この全文を公開することを小野寺大臣に記者会見で求めた。当時は特定機密保護法成立以前であり、機密でも何でもない、ウィキペディアあたりを参照にした文書すら公開しないのであれば、特定機密保護法が成立したら防衛省、自衛隊の秘密主義は一層悪化すると思ったからだ。

ところが内局の辰巳報道官はこれが内部文書であり、情報公開の対象では無いからという理由で公開の要求を退けた。現在のイラクや南スーダンの日報問題は当時の筆者の心配がまさに現実だった証左と言えるだろう。

このような胡乱な内部文書の公開を拒否したということは作成者及び、その上司も処罰をされなかったということだろう。この文書は関係する各部署にばらまかれていたが問題とならなかったようだ。だれもおかしいと思わなかった、思っていても黙っていたということだ。

▲写真 陸上総隊の司令官旗授与式等に出席した小野寺大臣(2018年4月) 出典 防衛省・自衛隊

恐らくは現在も防衛省や自衛隊ではウィキペディア等の怪しげなソースを参照にした、怪しげな書類が作成され、それに基づいて装備の調達や政策が策定され、また政治家に対する説明が行われている可能性は否定できない。この件で文書を公開して、関係者の処罰を行っていればそれが防げただろう。

これが防衛省、自衛隊の情報公開に対する態度である。これを助長しているのが実は記者クラブだ。我々フリーランスの記者などを記者会見は勿論、多くの取材機会から排除している記者クラブは国民の知る権利を阻害しており、むしろ国民の知る権利から当局を守るバリアーとなっている。筆者が一時期記者会見に参加できたのは外国のプレスの代表として外務省のプレスパスを持っていたからだが、やり過ぎたせいか2016年以降更新されなかった。

この「正誤表」の問題で防衛省を庇おうとした記者がいる。当時のNHK記者クラブキャップの鈴木徹也記者である。会見後、鈴木記者は筆者のこの質問を個人的な質問だ、このような質問をするなと恫喝した。ことの詳細は以下のリンクを参照されたい。

『記者クラブ』というシステム〜防衛省大臣記者会見後で非記者クラブ会員に圧力をかけるNHK記者の存在(その1)(その2)

【続報】「皆様のNHK」の誠意に疑問〜問題が発生したら無視を決め込む公共放送は許されるのか。(その1)(その2)

記者クラブは会見で、具体的な証拠を突き付けて、大臣や幕僚長が回答に困るような質問をしない。そのような質問をすると後で意趣返しされることがあるからだ。つまり官側と持ちつ持たれつのなれ合いの質問しかしない。更に申せば軍事の知識があるわけでもなく、単に防衛省の担当として張り付いているだけだ。

このような事案を防ぐためには、まず国会で秘密会議を開催できるような体制を作ることが重要だ。併せて防衛省や自衛隊には機密以外の情報は原則開示するという情報開示の体制の構築が必要だ。

また、今回の件に関わった関係者の処分を厳正に行うべきである。懲戒解雇や降格も含めて厳しい処分を行うべきだ。そうでないとモラルハザードを引き起こす。また併せて、本来権力を監視するための記者クラブが当局を守るバリアーとなっている現状を変えるために、フリーランスや雑誌などの専門記者を含む外部のジャーナリストに記者クラブを開放するべきだ。

トップ画像:陸上自衛隊 出典 陸上自衛隊 第一師団

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