中小企業が危ない 迫る中国・新興国
Japan In-depth / 2018年4月27日 0時38分
嶌信彦(ジャーナリスト)
「嶌信彦の鳥・虫・歴史の目」
【まとめ】
・現在の工場経営者は大半が70代前後、中小企業は危機的状況。
・2025年迄に約650万人の雇用が失われ、22兆円のGDPが減少する可能性も。
・モノ作りで中国や東南アジアがどんどん日本に追いついてきている。
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このところ、たて続けに4~5人の中小企業の社長さんに会った。いま残っている人たちはみんな元気だ。むろん資金繰りや後継者難、人材育成などの悩みは抱えているが、これまでに一山も二山も乗り越えてきた人たちばかりのせいか、さほど暗い顔をしていなかった。少しは景気が上向いているということなのか。
「痛くない注射針」などの製品を開発して業界では有名な岡野工業代表社員の岡野雅行さんは現在85歳。「会社はあと2-3年でたたむことになるんじゃないか」といい、痛くない注射針は医療機器大手が作れるよう技術継承を考えているという。社員は10人足らずだが、みんないい腕を持っているのでどこにでも働き口を見つけられると心配していない。自分も父の経営する金型工場から50年以上前にプレス加工の会社を設立し、他人のやらない仕事を開発してきた。常に自分で新しい製品、技術などを追求していれば、たとえ数人の中小企業でも一国一城の主となって生きてゆけると信じてきたし、それを実行してきたという自負がある。
■ 急逝した父の会社を32歳で継ぐ
ダイヤ精機の諏訪貴子社長の経歴もユニークだ。95年に成蹊大工学部を卒業後、自動車部品メーカーに就職したが、2年後に父の経営するダイヤ精機に呼ばれ入社。当時は資金繰りも苦しく青息吐息の状態だったのでリストラ策中心の経営改善計画を作って父親に見せたところ半年後に自らがリストラされてしまう。
▲写真 ダイヤ精機 諏訪貴子社長 出典 Twitter @takakosuwa271
再建の道はこれしかないと考えて作成したリストラ策だったが、父にとっては一緒に働いてきた約40人の社員をリストラして再建をはかる気持ちにはなれなかったのだろうと思った。97年に退社して夫と子供と共にアメリカ転勤の準備をしていた2000年に再びダイヤ精機に戻るよう父から要請がくる。アメリカへ転勤するか迷った挙句、再び父の会社へ入社し、また同じようなリストラ策を提案したら今度は3ヵ月後に再び自らが2度目のリストラに。
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