英語で深まる日米柔道交流
Japan In-depth / 2018年4月27日 7時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・日米柔道交流では、言葉の役割が意外に大きい。
・金丸雄介氏は投げ技や組み方をすべて自分の英語で説明した。
・共通の言語での直接の意思疎通が交流を一段と深めた。
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私は日米両国間の柔道交流に長年、かかわってきた。自分自身が学生時代、日本で柔道に励み、選手生活を送り、アメリカでの留学や勤務の期間中にも日本の柔道界とのきずなを保ちながら、アメリカ柔道に関与してきたという背景の結果だった。
近年は日本の柔道界の一流の選手やコーチたちがワシントン地区へきてくれて、アメリカ側の選手やコーチたちと交流をしてきた。当然、日本側が指導するという場合が多かった。その種の交流の仲介役を私が務めてきた。
その日米交流では、言葉はあまり問題ではないと思ってきた。日本側の選手たちがとくに英語ができなくても、またアメリカ側の選手たちが日本語を知らなくても、柔道自体が肉体言語の交信の役割を果たすと思ってきた。たしかに柔道の実技や精神は言語が少なくても通じるといえる。場合によっては通訳を使えばよい。
しかし今回は言葉の役割が意外に大きいことを実感した。全日本柔道の男子コーチの金丸雄介氏が3月中旬から4月上旬までワシントン地区を訪れた。ジョージタウン大学ワシントン柔道クラブと海軍士官学校柔道部での指導のためだった。
▲写真 金丸雄介氏 出典 金丸雄介オフィシャルブログ
金丸氏といえば、筑波大学の学生時代から全日本体重別の73キロ級で優勝を重ね、各種の国際大会でもメダルを獲得した名選手だった。2008年の北京五輪に出た後、現役を引退したが、その後は指導側に回り、中量級の一流選手たちのコーチとして輝かしい実績をあげてきた。現在は全日本の男子チームの正式コーチのほかに了徳寺大学の准教授という立場にもある。
だが金丸コーチはこれまで一年間は日本オリンピック委員会の特別海外研修制度でイギリスに滞在していた。イギリスでの柔道の指導や練習にあたったわけだ。その任務を終えて、日本に帰る途中、ワシントンに寄ってくれた。
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