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木を見て森を見ぬイスラム論 イスラム脅威論の虚構 最終回

Japan In-depth / 2018年5月1日 9時55分

この点、同じアラブ諸国でも長い歴史を持つシリア、レバノン、エジプトと言った国々では、女性のパイロットもいるし、タクシーやバスの運転手の中に女性が占める比率は年々高まってきている。

▲写真 レバノンの女性タクシードライバー 出典 Facebook Banet Taxi

もうひとつ、よく引き合いに出されるのが、インドネシアのイスラム家庭におけるDVの多さである。たしかにインドネシアは、2億3000万の総人口に対し、87パーセント以上をイスラム系が占めているので、世界最大のムスリム人口を有する国だ。

しかしながら、この国は赤道にまたがって広がる大小1万3466もの島からなる国土に、300を越す民族が暮らしており、宗教の点でも、リゾート地として日本でも有名なバリ島ではヒンドゥー教が多数派を占めているし、カトリックが優勢な島もある。そもそもインドネシア共和国憲法29条においては「信教の自由」が保証されているのだ。

独立運動の旗手(17世紀以来、オランダによる植民地支配を受けていた)で、1949年に独立を達成して初代大統領となったスカルノは、一神教に帰依することが国民の第一の美徳であるとしたが、これは、無神論を容認しないと言っているに過ぎず、信仰の対象はイスラムでなくとも可であると、わざわざ断っている。

▲写真 スカルノインドネシア共和国初代大統領 出典 パブリックドメイン

アラビア語圏でもないし、イスラムが国教の地位も得ていないとなると、もはやイスラム圏にカウントしてよいかさえ微妙な話になってくるのではないか。いや、それ以前の話として、クルアーンにはDVを容認するような文言はどこにもない。

ムスリムの男性が奥さんを4人持てる、という話も同様で、そもそもこれは、イスラムの勃興機に戦争未亡人に対する救済策が必要であったという事情と、経済力のある男性が多くの女性を妻にするような事態を防ぐため「4人までに制限した」というのが事実だ。あのデヴィ夫人が、前出のスカルノの第3夫人としてインドネシアに渡ったことから、イスラムとは一夫多妻なのかと思い込んだ人が増えたのかも知れない。

▲写真 デヴィ・スカルノ大統領第3夫人(1970年) photo by Bert Verhoeff / Anefo

しかし、本シリーズのために色々と話を聞かせて貰っている、中東問題に造詣の深い元外交官は、「僕は100人以上のムスリムと交流したけど、複数の奥さんを持ってる人なんかいない」と断言している。

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