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自衛隊制服は中国製で構わない

Japan In-depth / 2018年5月18日 11時48分

 

■ 今でも海外製が使われている

第3の理由は「今でも海外製を着ている」ためだ。

海外製採用への反論としてはスパイが持ち出される。「中国製を採用すると中国スパイが紛れ込む」意見だ。自衛隊のやることをはすべて無批判にヨイショするカルト愛国メディアに多い。亜流としては「納棺服となるから日本製」「日本縫製でなければ気品は出ない」といったオカルト発言もある。

だが、その反論は意味はない。

まず出入門チェックは制服ではない。身分証明書やそのICタグで行われる。チェックされるのは服装の乱れだ。それも若手下士官や兵隊が制服・私服で通門する際に、しつけ名目に半分嫌がらせで観るだけだ。

その上でいえば今でも海外縫製品は普及している。

私物制服はおそらく海外縫製である。ごく一部、例えば横須賀の銘店、安藤洋服店のさらに英国生地を使った手縫い品でもなければそうだろう。それ以外の制服店なら青山やコナカと同じ工場と見ている。なんせ青山やコナカでかったズボンを実混用してもわからない。

米軍向けや英軍向けをそのまま着ている自衛官もいる。例えば、海自の夏制服でボタンが透明なタイプは米海軍用の制服である。どうやってもアイロンがかからないほど素晴らしいノーアイロンである。また陸海空とも肩章ワイシャツや肩章セーターはその手が多い。米英ほかの軍隊採用品をそのまま着ている。*2

これが問題となるか?ならない。その判断をする指揮官級の高級幹部が率先して着ている。留学先で折畳み正帽を入手するともう手放せないという。出張は背広姿であり制服一式を携行する。なにより正帽は始末に困るのだ。

この状況で「国産制服でなければスパイが紛れ込む」は馬鹿な話である。

ちなみに、国産制服にしてもスパイは紛れ込める。制服仕様は公開されている。どこでも作れるし誰でも買える。これは戦前からそうだ。「海軍省にコスプレしたマニアが室内まで入り込んだ。でも何の実害もなかった」といった笑い話があった。国産制服でも結局は同じなのだ。

この点でも、官給制服を国産しなければならない理由は立たない。

制服は海外製にすべきである。そして、それで余った金で本当に必要な迷彩服や陸戦靴、作業服の高性能化し、あるいは貸与数を増加させたほうがよい。

 

*1 短靴の品質は最悪だった。軽作業は短靴で行うが全く向いていない。筆者の記憶でも壁梯子で屋上に登るには滑って危険であり、除雪指揮で融氷材が掛かったら翌日にはバラバラになった。幹部用のストレート・チップ短靴は糊づけだったのだ。以降、ハシゴは地下足袋で、除雪立ち会いは軽登山用の厚革チロリアンを使っていた。

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