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仏、救急要請無視で女性死亡

Japan In-depth / 2018年5月20日 10時42分

明らかに弱々しく苦しんでいるムセンガさん。SOSメドゥサンにも電話をかけようとしたものの、電話番号を正確に打てなかったようで成功せず、それでもなんとか知り合いへの電話は成功して来てもらうことに。しかし知り合いがたどり着いた時には、血に汚れたシーツの上で横たわっていた状態であり、その後病院の運ばれた時にはすでに手遅れで亡くなってしまった。「出血性ショックによる多臓器不全」との診断だ。緊急電話をかけて約4時間後のことである。

ムセンガさんは22歳の若さで、2歳の子供の母親でもあった。いつも笑顔でまったく問題も起こさない健康的な女性だったと友達たちは口々に答える。

亡くなる2週間前には、高校時代の友達のスタイリストに頼まれてパリの洋服のファッションショーにモデルとして参加していた。美しいムセンガさんが着ると洋服がとても映えるためいつも頼んでいたと言う。しかしその時の姿が生前の最後の映像となり、2017年12月29日に亡くなることになるとは誰も想像もしていなかっただろう。

病院で亡くなった後、2018年に入り、死後5日後の1月3日に解剖が行われ死因の調査が行われた。しかし、ようやく病院から両親に説明されたのが2月。ムセンガさんの両親はまったくその説明に納得がいかない。そこで知り合いのすすめでSAMUとのやりとりの録音を入手依頼した。

4月15日にようやく、「聞く人に衝撃を与える可能性があります」と記されたSAMUの録音を受け取る。そしてこの音声を聞いて卒倒するのだ。驚いた家族は友だちや知り合いと相談したうえ現地の新聞HEB'DIと連絡を取り、4月27日に記事が発表された。

両親は集まった報道陣の前でこう語る。

「なぜ死んだのか、あのオペレーターの女性はいったい誰なのか知りたい。どうしてそんなことをしたのかを知りたい。」

そして、病院とオペレーターを相手取り、訴える準備に入った。

日本でも同様に救急車に来てもらえず亡くなった事例がある。死亡したのは山形大理学部2年だった大久保祐映(ゆうは)さん=当時(19)だ。大久保さんが山形市消防本部に119番通報したのは2011年10月31日午前5時11分。しかし、同市消防本部に自力で病院に行けると判断され、救急車は来なかった。

通報を受けた通信指令課職員2人は「歩けるのか」「タクシーで行けますか」という問いに、大久保さんが「動ける」「タクシー…の番号がわかれば自分で行けると思います」と答えたやりとりから「緊急性がないと総合的に判断した」(市側の準備書面)という。

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