仏、救急要請無視で女性死亡
Japan In-depth / 2018年5月20日 10時42分
大久保さんの声を音声で確認すると、ろれつが回っておらず、軽い意識障害があるのではないかと思える箇所もある。呼吸も荒く嘔吐もしていると本人が答えているので、医者であれば何らかの症状を発見できたかもしれないが、もちろんオペレーターは医者ではない。決められた確認事項に該当する場合のみ救急車を送るが、この時は本人が「タクシーで行ける」と答えていたため救急車派遣に該当しないと判断されたのだ。
しかし、この日本のケースと比べてみても、今回のフランス・ストラスブールのオペレーターの対応には違和感を覚える。事情もほとんど聞かず、事情どころか、患者の様子(意識混濁などの)を見るための会話もなされてない状態で、SOSメディサンに電話をかけるようにと即答している。しかも本人が本当に電話をかけられるかどうかの確実な返答も聞かずに電話を切っているのだ。
最初ムセンガさんは助けを求め警察の電話番号に電話をかけた。そこで警察からSAMUに電話を転送したのだが、警察のオペレーターが状況の引継ぎの際「死にそう」と言ってると伝えたときに、すでにSAMUのオペレーターは、「確かに彼女は死ぬでしょうね。誰でもいつかは死ぬんだもの」と軽口を言っていた。
「もうその時点で、診断がされていて、答える内容が決まっていたのではないだろうか。」
と、記事を書いたストラスブールの地元紙HEB'DIの記者は語る。
このようなずさんな対応になった理由としては、オペレーター自身は、「悪列な仕事環境が招いた惨事」だと主張している。
現在一時的な停職処分として自宅で待機し沈黙を守っていたが、5月13日(日)、彼女はフランスメディアM6のプログラム66分の放送の電話インタビューでこう答えた。
「システムの責任を負わされるのはもう十分です。私たちは常にストレスにさらされているんです。12時間連続して仕事しています。そんなひどい労働条件なんです。2時間~3時間ぐらいしか電話から離れている時間はない。みんな忙しくて立ち上がる時間もありません。手順に落ち度が発生するのは、処理しきれる以上の多くの電話がきて、対応しきれないからです!」
▲写真 SAMUのオペレーター 出典:SAMU
20年、救急職員と勤務し、その後緊急電話のオペレーターとして4年間働いており、勤務状況はおおむね良好な職員だったという。オペレーターの弁護士によると、平均2000件、多い日は3000件の電話があり、いつもストレスにさらされている仕事であり、彼女は、もう二度とこの仕事をやらないつもりだと語っているそうだ。
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