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塾がないデンマーク 変わる教育制度

Japan In-depth / 2018年5月22日 16時0分

塾がないデンマーク 変わる教育制度

田中亜季(北欧研究所)

【まとめ】

・デンマークには入学試験がないため受験勉強をする必要もない。

・学歴と給与が比較的相関せず職業に貴賤がない。

・教育費が国の財政をひっ迫、制度の改革が求められる。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=40147でお読み下さい。】

■塾ってなに?

日本の教育制度をデンマーク人に説明していた時に聞かれた。「塾ってなに?」英語に訳すと、“cram school”。 この言葉自体が通じていないようだった。「学校の授業を補完したり、受験勉強の準備をしたりするためにいく場所だよ」というと、「学校に終わった後にさらに勉強するの!」と驚かれた。

写真)小中学校のグラウンド©田中亜季

デンマークには入学試験がない。よって受験勉強をする必要がない。教育制度としては、小中学校で9年間(1年生から9年生)、その後は高校へ3年間通う。日本との違いは、入学前に0年生という学童期間があること、それから9年生卒業後、希望した生徒は10年生になれるところだ。

面白いのは、日本だと浪人ないしは留年という扱いになるこの高校前の10年生という猶予期間(ギャップイヤー)を、全体の約半数以上の生徒がとること。この期間中、自分の将来について考えるそうだ。入学試験がないのに、高校や専門学校、大学にはどうやって進学するのか。それは学校内における成績で入学できるかどうかが決まる。一発逆転のビリギャルはデンマークにはいない。

■宿題は誰がみる?

学校の成績で大学に入学できるかどうかが決まるなら、やっぱり塾の需要はあるのではないか?と疑問に思ったので、学校での宿題が自分で解けなかった場合はどうするのか、と数人のデンマーク人に聞いてみた。ほぼ全員の答えは、お父さんかお母さんに教えてもらうというもの。教えるのが難しい両親を持つクラスメイトはどうしていたのかと聞くと「そういう子は、先生に聞いていたんじゃないかな?」。

写真)小中学校の廊下©田中亜季

デンマークはみんな仕事が早く終わるから、お父さんもしくはお母さんが宿題を教えてくれる時間があるのか、とも納得しつつも、そうはいかない家庭もあるだろうと思ってしまう。教師に聞くといっても国の規定で決められている1クラスあたりの人数は28人。少人数体制ではあるが、生徒一人一人の宿題にきちんと対応できるほどの体制ではない。そして「北欧」と一括りにされがちだが、デンマークはフィンランドのように、教師が大学院まで出なくてはいけないというような徹底した制度は持っていない。

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