仏でホメオパシー論争再燃
Japan In-depth / 2018年5月31日 18時0分
Ulala(ライター・ブロガー)
「フランス Ulala の視点」
【まとめ】
・仏でホメオパシーに対する議論が再燃している。
・多くの国で保険適用範囲から外されつつあるが、仏では最大30%まで保険適用される。
・有害な一面もあるホメオパシー。議論を通し正常な情報が広がることが重要。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=40278でお読み下さい。】
現在フランスでは、アグネス・ブジン社会問題・保健相が問題を提起したことにより、ホメオパシーに対する議論が再燃しています。
▲写真)アグネス・ブジン氏 出典)AgnesBuzynTwitter
「プラセボ(偽薬)効果以上の効果はなく、科学的に効果が実証されていないホメオパシーに、国による保険適用を続けていいのだろうか?」
ホメオパシーとは、18世紀末から19世紀初期にかけて、ドイツの医師ハーネマンが唱えた民間療法です。「健康な人間に与えたら似た症状をひき起こすであろう物質を、その症状を持つ患者に極く僅か与えることにより、体の抵抗力を引き出し症状を軽減する」という理論からきており、さまざまな物質を一定の方法によって水で希釈を繰り返したものを砂糖玉に染みこませた「レメディ」と呼ばれる球形の錠剤を飲むことで治療が行われます。
▲絵)ザムエル・ハーネマン氏 出典)Wikipedia Comm
ホメオパシーの理論では“物質のパターンが水に記憶されるため、治療効果がある”とされています。しかしながら、物質の希釈度は最終的に10の60乗ということで、元の物質が残っていないホメオパシーの「レメディ」は要するに単なる砂糖玉であり、正統派医師の多くの研究ではホメオパシーは偽薬によるプラセボ効果であると結果が出されているのも事実。プラセボ効果とは、薬だと信じ込む事によって何らかの改善がみられることであり、原病やその症状自体の改善というよりは、「効くと信じている薬を飲んでいる」ことから精神的な安心感を得られると言うもの。
18世紀から19世紀前半には、確かにホメオパシーは他の薬よりも効くと思われていました。それもそのはず。なんと言っても塩化水銀が常備薬として家庭に備えられており子供などに頻繁に与えられ、水銀中毒を起こして亡くなっている方もいる時代。確実に効果がある薬も現在のようには発達しておらず、薬として害あるものを摂取してさらに具合が悪くなることも多くあったのに対し、なんの害も及ぼさず時には病気が改善されるホメオパシーの方が効果を感じ取れたとしてもおかしくありません。
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