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仏でホメオパシー論争再燃

Japan In-depth / 2018年5月31日 18時0分

例え効果がなくとも飲んでも害を及ぼすことがないため医療関係者からも容認されていたことは、ナイチンゲールが「素人が下手に薬を与えるよりも、害をなさない砂糖玉をあげるホメオパシーはとてもよい」と評したことからも理解できます。

このような状況の中、ホメオパシーはヨーロッパ中に広がり、現在でも、フランスでは、すべてのジェネラリストや専門家がホメオパシーを処方でき、最大30%まで保険適用されています。

しかしながら、効果ある薬がでてきた近年では、ホメオパシーは多くの国で保険の適用範囲から外されつつあります。例えば、ホメオパシー発祥の地であるドイツですら2004年よりいくつかの例外を除き公的な健康保険では保障されなくなりました。イギリスでも2010年には、公的な保険適用はなくなっています。

唯一例外的な国はスイス。2005年に公的保険適用から外されたのにもかかわらず、2009年の国民投票で補完代替医療の保険適用案が支持されたのを受け、2016年3月に再びホメオパシーが健康保険対象に戻されました。認められた補完代替医療の中には日本でも保険適用されている鍼治療や漢方も含まれるてれいますが、同様にホメオパシーも「従来の治療法を有益な形で補うもの」として認められたのです。スイスは科学よりも患者の意向が尊重された結果となりました。

確かに、プラセボ効果とは偽薬を飲むことで「安心感」がもたらせられます。この「安心感」と言うのは、実際に痛みや不眠などの精神的なものには効果があることは事実ですし、偽薬であっても一定の効果があるなら国民の健康を維持するのに役にたっており、それなら公的な健康保険に適用されてもいいのではないかと言う意見も出ています。第一、現在払い戻されている費用も全体から見れば微々たるもの。2016年に、フランスの健康保険から払い戻された金額は1億2850万ユーロ。全体の1%程度にしか過ぎないのです。

Ipsosの調査によると73%のフランス人はホメオパシーを信用していると言う調査結果もでています。例えプラセボであっても、その程度や内容は人さまざまでしょうが、実際に効果を実感している人は多いと言えます。

だいたい、科学は真実をあばきだし、時には人の心を大きく傷つけます。強い作用の薬は、体までむしばみます。そんな突き付けられた真実を直視し、痛みに耐えるよりも、自然を重視したここちよい物語を信じてそれを実践した方が幸せでいられる。人は幸せを感じている方が、心身共に快適でいることができ、そちらの方が健康に貢献している言う意見も出されています。

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