福島県で梅毒患者が急増中
Japan In-depth / 2018年6月1日 11時0分
米国では、2015年2月現在、31の州でクラミジア感染患者のパートナーに対して診察なしで抗生剤を処方することが認められている。
英米のクラミジア対策は、日本より圧倒的に進んでいる。日本では、このような対策はないし、そもそも信頼に足る統計データがない。
厚労省の定点調査(特定の医療機関に受診した患者数を調べる)では、クラミジアの患者数は、2002年の43,766件をピークに減少し、2016年は24,396件だった。梅毒の患者数が、同時期の間に575件から4,559件と増加しているのとは対照的だ。
勿論、報告バイアスがあるのだろう。国立医療科学院の今井博久氏が、2006年に報告した調査では、感染率は女子高生で13.1%、男子高生で6.7%だった。欧米の2-5%より遙かに高い。日本の性病対策の現状をしれば、厚労省の定点調査より、今井氏の報告の方が、説得力がある。
性病対策は難しい。欧米で徹底した対策を施しても、なかなか減少しない。特に近年、状況は悪化している。どうしてだろう。
最近、英国のインペリアルカレッジ・ロンドンの研究者が、イングランドにおいて2000年から15年の間のクラミジア感染率を推計した結果を発表した。2008年から10年の間にクラミジアの感染率は0.68%減少したが、2010年以降、目立った変化はない。
なぜ、ここまで徹底した対策をとっても、クラミジアの感染率は減少しないのだろうか。どうして、近年、急増しているのだろうか。前述したように研究者が注目しているのはSNSだ。特にティンダーをはじめとするマッチングアプリ(出会い系アプリ)の普及だ。
マッチングアプリの対象は、彼氏・彼女を作りたいと希望する若者だ。彼らがアプリに登録すると、アプリは登録情報を元に自らの好みに合う相手を推奨してくれる。気に入った人がいれば、右にスワイプすればいい。特に気に入れば上、気に入らなければ左だ。相手も自分に対して右か上にスワイプしてくれれば交渉が成立。両者の間でメッセージのやりとりが可能になる。男女が知り合う障壁を劇的に下げることになる。
日本でティンダーのユーザーが増加したのは2015年の春とされている。福島県で梅毒が急増した時期と一致する。日本でのユーザー数は公表されていないが、出会い系アプリに詳しいジャーナリストは「20代、30代の半分以上は利用していると思います」という。
米国でティンダーがリリースされたのは、2012年9月だ。当初、大学キャンパスを中心に普及した。現在、同社のホームページによれば、190カ国以上はで利用され、1日のスワイプ16億回、1週間のデート成立件数は100万回という。
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