マレーシア中国離れ 高速鉄道計画中止
Japan In-depth / 2018年6月3日 13時54分
大塚智彦(Pan Asia News 記者)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・クアラルンプールとシンガポール間の高速鉄道計画中止。
・マハティール政権は財政立て直しに取り組む。
・マレーシア、中国への過度の依存を再検討。
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マレーシアのマハティール首相は5月28日の会見でマレーシアの首都クアラルンプール(KL)とシンガポールを結ぶ全長350kmの高速鉄道計画を中止することを発表した。これにより日本や中国、欧州の企業体が2018年末の受注締め切り目指して繰り広げていた受注競争は終止符が打たれることになった。
▲写真 マハティール首相 出典:photo by en:User:Syrenn
すでに鉄道建設予定地の土地収用などに着手していたシンガポールについてマハティール首相は違約金について今後協議するものとみられる。
ナジブ前政権で始まった同計画ではナジブ前首相が中国寄りのため、受注競争では安全性を前面に出していた日本より、価格面で有利な中国が受注する可能性が高いとの見方が有力だった。
中国は高速鉄道の駅設置場所周辺で複数のインフラ整備計画をすでに進めていることから中国側も突然の中止決定に対し今後何らかの厳しい対応をマレーシアに迫ることも十分予想され、高速鉄道計画は中止になったことで新たな波紋が広がろうとしている。
▲図 当初のクアラルンプール~シンガポール高速鉄道予定図 出典:シンガポール政府
■ 両国首脳が建設に合意
5月23日の新政権による初閣議後に会見したマハティール首相は「大型インフラ事業を継続するか中止するかすぐにも決めたい」と述べ、見直し方針を示唆していた。
そして同月28日、巨額の費用がかかるものの「マレーシアには1セントの儲けにもならない」と両国間の高速鉄道計画を切って捨て、「計画中止は最終判断だ」と述べて見直しも再開もあり得ないとの姿勢を強調した。
この2国間を結ぶ高速鉄道計画はそもそも2010年9月に当時のナジブ首相が発表したもので、その後シンガポールとの調整、協議を経て2013年2月にナジブ首相とシンガポールのリー・シェンロン首相が会談して建設計画で合意したものだ。
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