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マレーシア中国離れ 高速鉄道計画中止

Japan In-depth / 2018年6月3日 13時54分

▲写真 会談するマハティール首相(右)とリー・シェンロン首相(左)(2018年5月19日)出典:リー・シェンロンFacebook

現在陸路で約5時間かかるKL~シンガポール間を最高速度時速320Km、約90分で結ぶ高速鉄道は、マレー半島の西側を海岸線に沿う形で新路線を建設し、KLを含めた7駅がマレーシア側、終点のジュロン・イースト駅がシンガポール側となる計画だった。

▲写真 ジュロン・イースト駅(シンガポール)出典:photo by Bob T

 

■ 財政立て直しの一環で中止は最終決定

5月9日に投票されたマレーシアの下院総選挙でマハティール元首相率いる野党連合がナジブ首相の与党連合を破り、同国史上初の政権交代が実現した。92歳で再び首相に返り咲いたマハティール首相はナジブ政権の「金権汚職体質からの脱却」と「変革」という公約を実現するために、まず財政の立て直しに着手した。

▲写真 再び首相に返り咲いたマハティール首相(2018年5月9日)出典:Chedetofficial

ナジブ政権末期のマレーシアは国家の債務が1兆マレーシアリンギット(RM)=約27兆3743億円に達しており、巨額な経費がかかる大型インフラ整備事業の見直しにとりかかった。マレーシアの東海岸を北のタイ国境付近からマラッカ海峡に至る東海岸鉄道計画も見直し対象となった。同計画は総工費502億RM(約1兆4000億円)の多くを中国からの融資で賄ってすでに着工が始まっているものの、見直し対象となった。そして総開発費で600億RM(約1兆6400億円)の経費が必要となるKL~シンガポールの高速鉄道計画の「中止」を決断したのだ。

マレーシア側はこの計画中止の補償としてシンガポールから5億RMの支払いを求められる可能性もあると試算しているが、それでも中止を決断したところにマハティール政権の財政立て直しに取り組む並々ならぬ決意が表れている、といえる。

 

■ マハティール首相の中国依存脱却姿勢

受注競争が激化していた高速鉄道の車両の提供や線路の建設などを担う「鉄道資産会社」の入札には中国が中国鉄道総公司を中心とするコンソーシアムで参加する意向を示し、日本もJR東日本、住友商事、日立製作所など10社で受注を目指していた。このほかにドイツ、フランス、イタリア、オーストリアが参入を表明、受注を目指していた。

ナジブ前首相が親中国であることからこれまで中国が有利との見方が強かったが、4月19日に当初予定していた6月29日の入札締め切りを事業者から「準備が間に合わない」との要請が相次ぎ、今年12月28日に入札を延期、受注者決定は2018年末から2019年にずれ込む可能性が出ていた。開業予定の2026年は変更なかった。

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