仏、アルツハイマー型認知症治療薬保険適用外に
Japan In-depth / 2018年6月17日 18時0分
またスタッフがさりげなくサポートするので失敗経験にはならず、失敗経験から生まれる「できない」、「わからない」という不安感情が発生しにくくなります。失敗体験やそれによる暴言や暴力などが積み重なることが、問題行動の原因にもつながるため、なるべく不安にさせないことが大切なのだと言います。
▲写真 オランダのアルツハイマー病患者村Hogewey 出典:Hogewey
そういったサポートを行っていった結果、オランダの「認知症村」の平均入居年数(寿命)は、開設当初から比べると約2.5年から3.5年に伸びました。問題行動が減ったことで、薬の服用も15%減少したという一定の成果をあげたのです。
一方、現在建設が進められているフランスの「アルツハイマー病患者村」は、患者を助け、介助者も普段着を着て、穏やかな普通の生活の継続状態を目指している点では同じですが、オランダの村とは異なり研究を目的とした施設が設置され、実験結果を従来の介護施設で取られている手法と比較し正確なデータをまとめる予定になっています。
研究員たちは、介助者や、さまざまな活動を行うボランティアや住民と共に村に住みます。また、コンセプトとして病院の雰囲気から遠ざかることとし、薬物治療も行いません。7ヘクタールの土地に、スーパーマーケットや美容院、レストランなどを設け、社会的な交流を促す造りになっており、2019年までにおよそ120人の患者を迎え、入居費用は一日60ユーロ程度になる予定としています。
このように、将来やってくるであろう高齢者社会に向けて、現在フランスではアルツハイマーの治療法の模索が行われ続けています。患者にとって一番最適な治療法、生活環境とはどういったものなのかを考え、効果がないとすれば保険適用から除外して、積極的に次の段階のアルツハイマー患者との向き合い方が考えられているのです。患者とその家族を助ける未来の介護モデルもフランスの「アルツハイマー病患者村」から生まれるかもしれません。まだまだ建築が始まったばかりですが、今後の研究には大きな期待がかけられています。
トップ画像/フランスのアルツハイマー患者村 ©NORT ARCHITECT
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