海自・航自はボルトアクション小銃でよい
Japan In-depth / 2018年6月24日 7時0分
仮に全員分に一丁づつ与えても30億もかからない。小銃は1人に1丁与える装備ではないが、そうするのも無理な値段ではない。3万丁を10年更新するなら年3億円でしかない。
■ 既存弾薬が活用できること
3つ目は既存弾薬が活用できる利点だ。ボルトアクション小銃では在庫弾薬がそのまま使える。まず、64式用の弾丸ストックが使える。民間向けボルトアクションの主流は308WINと呼ばれる規格だ。これは64式が準拠するNATO弾と同寸法だ。つまり64式向けの在庫がそのまま使える。
▲写真 308WIN 出典:photo by JHobbs
また海自の30-06規格にも対応できる。一世代古い米国弾薬でありM1919A4機関銃で利用する7.62ミリ別寸法弾丸だ。海は陸戦用の高信頼性機関銃として評価重宝しており理由をつけて国産機関銃をなるべく買わないようにしていた。ボルトアクションではその弾薬にも容易に対応する。
つまり、新小銃採用で新弾薬を購入する必要はない。山のように保管されている在庫弾薬がそのまま使えるのである。
さらにいえば民間用や低品質弾薬にも対応する。ボルトアクションは単純頑丈のためNATO規格を超える火薬量や異形弾頭も許容する。戦時に弾薬が不足しても国内外で民間市場から購入した308WINや30-06が使える。
これは海外派遣での後方警備にも向く。現地購入の聞いたことのないメーカー製実包や家内制手工業品の不詳実包にも対応する。極端な話、撃ち殻再利用やハンドメイドの鉛鋳造弾頭(交戦には使えない)もできる。それでも確実に動作するのだ。
■ 火力は不足しない
以上がボルトアクション小銃の利点である。付け加えれば火力不足は問題とならない。実戦になっても海空基地警備ではバカスカは撃たない。まず実際にバカスカ撃つほどの数の弾丸は警備や自衛用に与えない。具体的な数はいわないが、初めて知れば「この程度」と驚く数だ。
ちなみに陸自も小銃は自衛用セクターにはやはり「それだけ」の数しか渡されない。通信職域や施設のうちの建設部門は「この程度」よりは多いが、「それだけ」の数だ。
また連発できる自動小銃も普通は連発しない。自動小銃は連発可能である。だが連発して当たるようにつくられてはいない。結局は1発1発と単発で撃つ。
このためボルトアクションにしても火力は低下しない。あるいは、1発1発を大事にキチンと狙う分ボルトアクションのほうが総合威力は上がる。もともと命中精度はボルトアクションの方が高い。護衛艦の漂流者救助で「フカ警戒用」つまりサメ退治用でもボルトアクションのほうが確実である。
どうしても連発発射したいならサブマシンガンを併用すればよい。それは今でもやっている。現用のトミーガンが古いなら同じような兵隊向けの単純サブマシンガンに改めればよい。
トップ画像/64式7.62mm小銃を抱える自衛官候補生(2013年撮影)出典:photo by Rikujojieitai Boueisho
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