国の対応が分けた北朝鮮抑留者の運命
Japan In-depth / 2018年6月29日 7時0分
対照的なのが、中朝国境地帯で脱北者救援中に拉致された宣教師をはじめ、多くを北朝鮮に不当拘束されたままの韓国文在寅政権の対応である。人権問題を持ち出すと北が「反発」し融和ムードが壊れるとの怯えから、二度の南北首脳会談中も、その前後の予備会談中においても一度も真剣に取り上げていない。
ここで思い出すのは、2004年前後に筆者が訪米した際のエピソードである。当時韓国は盧武鉉大統領時代で、年来の盟友である文在寅氏も秘書室長などの立場で政権を支えていた。
当時、国家安全保障会議(NSC)の幹部だったマイケル・グリーン氏に対し、北朝鮮のテロ支援国家指定の理由に日本人拉致を書き込む方針を決めてくれたことに謝意を表すと共に、韓国人拉致も盛り込む考えはないかと尋ねた。訪米前に、韓国の拉致被害者家族会から依頼を受けていたためである。
▲写真 マイケル・グリーン氏 出典:U.S. Naval War College
するとグリーン氏は即座に「ない。なぜなら韓国政府が反対しているから」と答えた。拉致は「民族内部の問題」であり外国が取り上げると事が複雑化するので言及しないで欲しい、が韓国政府の意向だという。
第二次盧武鉉政権というべき現在の文在寅政権も当然同じ立場だろう。拉致問題で韓国が北に同調することはあっても日本と共闘することはあり得ない。当たり前の事実だが、再確認しておきたい。
トップ画像/アメリカ人拉致被害者帰国を歓迎するトランプ米大統領(2018年5月10日)出典:The White House
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