「9条改正のキーワードは“我が国にとって”」大野元裕参議院議員【憲法改正論】
Japan In-depth / 2018年7月7日 18時0分
Japan In-depth 編集部
【まとめ】
・急迫不正の侵害を排除する自衛権を「我が国にとって」に限定する
・2021年以降を見据え、限定的な集団的自衛権行使の余地を残すべき
・平和のための国際貢献と集団安全保障もきちんと位置付けるべき
3月21日放送のJapan In-depthチャンネルのゲストは国民民主党(放送当時は民主党)の大野元裕副幹事長。大野氏は参議院憲法審査会の委員でもある。長島昭久衆院議員と提起した憲法改正私案について聞いた。
――長島昭久氏との憲法改正私案提起の経緯は。
大野:
日本周辺の安全保障環境が変わっている。果たして9条のままでやっていけるのかとの疑問がある。また、集団的自衛権の議論ばかりがなされているが、これまで自衛隊が憲法とのかかわりで実際に問題になったのは、集団的自衛権と直接関係のない海外派遣の時だ。この2点について憲法上議論を広げるべきではないかと一石を投じたかった。
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【大野元裕、長島昭久両氏 共同改憲私案】
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
第二項の規定は、我が国にとって急迫不正の侵害が発生し、これを排除するために他の適当な手段がない場合において、必要最小限度の範囲内で、自衛権を行使することを妨げると解釈してはならない。
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―― 旧3要件の内容と似ている。
大野:
そうだ。基本的には「我が国にとって」以外は3要件そのままだ。問題は3要件の「“我が国に対する”急迫不正の侵害」だ。「我が国に対する」は、日本の領土、領海に対するものという解釈が確立しており、「我が国にとって」にしなければならない。私は集団的自衛権の行使を一部認めるべきだと考えている。ただ、政府のものはだめだ。限定的な集団的自衛権の行使としての3事例はいずれも立法事実として今行使できるものはない。しかし、日本が攻められていないのに、アメリカが攻められた場合、日本が攻められるのと同じ効果がある事例はあり得る。ひとつ考えられるのは、2021年にSM-3ブロック2Aという迎撃ミサイルが配備されたあとだ。グアムに行くミサイルを撃ち落とせる要求性能(5500km)を持っている。仮に北朝鮮のミサイルが大量の爆撃機があるグアムのアンダーセン基地に落ちたら、エア・カバーがなくなる。アメリカは最終的に盛り返すはずだが、その間、丸裸になるのは日本だ。北朝鮮が「東京を火の海にする」と言って先にグアムに撃った時、これを撃ち落とさなければ、日本が次にやられる蓋然性は高い。そういう集団的自衛権の行使が理論上可能になるケースはありえる。それが2021年だ。集団的自衛権行使の余地を法体系上残し、限定をする必要がある。それをどう書くかと考えたのがこの限定的な自衛権だ。「“我が国に対する”急迫不正」だと個別的自衛権しか認められないので、「“我が国にとって”急迫不正」とした。
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