「自衛隊違憲論に終止符を」中谷元衆議院議員【憲法改正論】
Japan In-depth / 2018年7月10日 0時50分
――2項を残すと「自衛隊は軍隊ではない。交戦権も持っていない」とのこれまでの政府解釈が維持される。しかし、自衛隊はどう見ても世界有数の軍隊だ。「国際法上は軍隊」との政府答弁もある。結局、違憲論争は完全には収まらないのではないか。
中谷:
様々な解釈はあると思うが、やはり3項に書けば、自衛隊の組織は憲法で提起されていることになる。これは前進だ。
――安保法制の議論では憲法解釈変更への批判があった。自衛隊の役割拡大は9条では限界があり、正面から憲法改正を打つべきなのに行政判断で対応した。安倍首相の2項維持・自衛隊明記案では、今度は3項の解釈変更をするのではないかという不信を招くのではないか。なぜ説得を尽くし、正面切った対応をしないのか。
中谷:
だからこそ自民党は2012年に改憲草案を発表した。しかし、安倍首相も総裁として考えに考え抜いて現状で憲法改正を成し遂げるには、1項、2項を維持して自衛隊の存在を明記することとした。これまでの憲法解釈の積み重ねの中で、平和主義や節度ある防衛を前提として自衛隊を明記し、国民投票にかける道を選択した。
本来は2項を変える案があったが、そうするとまた集団的自衛権の解釈の議論になる。国を二分し、反対する人は必ず「戦争を起こす」などと言うだろう。それに影響される部分は非常に大きい。今回は「今の解釈で今の自衛隊を認めてください」という提案だ。
ただ、前進するには2つのハードルがある。憲法改正は70年できなかった。それはやはり国会情勢が影響している。衆参で3分の2の議決が必要だ。いま安倍内閣の下で自民党は多数を占めており、その状況をクリアできる可能性はある。しかし、やはり他党にも「賛成」してもらわないとならない。1項、2項維持なら、公明党、希望の党、日本維新の会などは合意する余地がある。70年できなかったが、自衛隊を憲法で認めることぐらいはまずはやってみようではないかとの提案だ。できるだけ自民党以外の政党も賛成してもらえるように努力している。
2つ目は国民の過半数の了承が必要なことだ。憲法9条を改正すべきではないかと国民に正しく我々の考えが伝わるようにしたい。
――3分の2のハードルについて。最初に3分の2の勢力を確保してというのではなく、憲法論議を深めた結果、野党も含めて3分の2に至るというのが本来の筋ではないか。自民党案とすると野党は当然対抗する。なぜ政党単位の考え方なのか。それで合意形成できるのか。
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