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「緊急事態条項創設、1つのテーマ」遠山清彦衆院議員【憲法改正論】

Japan In-depth / 2018年7月11日 9時35分

 


――9条2項に手をつけないのであれば、何のための改憲かという議論がある。


遠山:


そこは悩みどころだ。世論調査では国民のほぼ9割が自衛隊を支持、評価しており、恐らく8割ほどは合憲だと思っている。日本共産党と社民党の一部の人を除けば、「いま憲法改正の必要性はない」と言っている立憲民主党を含めて国会議員の8割も自衛隊を合憲だと思っている。そういう中で憲法学者の6、7割が「自衛隊は憲法違反の疑いがある」と主張し、いまも大学ではそのように講義している。それを正すために9条の2を加えて自衛隊を明記することで、自衛隊は憲法に違反しているかどうかという神学論争に完璧に終止符を打つという意図を自民党が持っていることは、公明党も理解している。他方で、自衛隊は合憲なのに、それを規定するためだけの国民投票をわざわざ税金を使ってやるのかという声もある。


 


――安倍首相の手法について。


遠山:


やや感情論的憲法改正必要論だ。もちろん政治の世界は理性だけでなく、国民感情は大事にしなければいけないので、そこを排除するわけではない。しかし、戦後初の憲法改正にあたり、その理由の説明がお涙頂戴の感情論だけでは通らない。そこは憲法学上、法律学上の必要性と理屈を示さなければいけない。


 


――自衛隊は実際は軍隊なのに国内的には軍隊ではないという無理な説明をしている。国際貢献等で自衛官が発砲し、死者が出た場合の法的責任はどうなるのか。


遠山:


海外にミッションで派遣された自衛隊員は、安保法制で自身や管理下の人を守るため、任務を守るために武器を使ってもいいというところまでは整備された。例えば、自衛隊員がアフリカや中東等の過酷な環境で仕事をしていて、暗がりから人がパッと出てきて、こちらへ向けて銃を構えているように見えた時、正当防衛として撃ったとする。ところが、その人は椰子の木を持った民間の女性、あるいは子供で既に亡くなっていたような場合。こういう事態はこれまで起きていないので、国民にも意識されていない。しかし、万一起きた場合、その隊員の行動を法律上どう裁くかは大変難しい。自衛隊は軍隊ではないので軍法会議がない。刑法で殺人は罪だが、戦地に派遣された軍隊では、自分を撃とうとする兵士を撃って殺しても罪にはならない。ましていわんや、過酷な環境で見誤って民間人を殺してしまったというケースでは、自衛隊員の行動を罰するのか、それならばどの法律で罰するのか、刑法なのか。それが整備されていない。


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