米中貿易「戦争」どっちが悪い?
Japan In-depth / 2018年7月29日 12時18分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・米中貿易対立が7月下旬になってさらにエスカレート。
・「米国=保護貿易主義」とトランプ悪者説の日本メディアに変化。
・中国の不公正貿易慣行、経済構造のゆがみが元凶なのは明白。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=41249でお読みください。】
アメリカと中国がおたがいに相手から自国への輸入品に特別な高関税をかけ始めた。そのやりとりは7月下旬になってさらにエスカレートしてきた。なぜ米中両国の間でこんな異変が起きるのか。この関税のかけあいは果たして「戦争」なのか。そうだとすればどちらが最初にその原因をつくったのか。
この課題を考えるには日本経済新聞の論調のジグザグがおもしろい指針となるようだ。
▲写真 2017年11月8日北京に到着したトランプ大統領を迎える習近平国家主席 出典:White House Facebook
米中関係の動きをワシントンと北京の両方で長年、追ってきた私自身の見解をまず書こう。
いまの関税摩擦の原因は中国の貿易や経済のあり方の基本にある。国際社会が貿易面で規範とする世界貿易機関(WTO)のルールからみれば、中国の貿易慣行は明らかに違反が多い。アメリカの歴代政権はその違反に不満や抗議を述べながらも、強硬な実効措置はとらなかった。だがトランプ大統領はその「伝統」を破り、アメリカ側の利害からすれば毅然かつ断固とした行動をとったのだ。その目的は中国の不公正貿易慣行を変えさせることにある。
▲写真「Fair Trade」と題された写真 出典:USTR Homepage
だが日本のメディアも識者も高関税という手段で不公正な貿易慣行を始めたのはアメリカ側だとする論調が多い。このへんの日本の実態は国際経済に詳しい田村秀男氏が月刊雑誌HANADAの9月号の巻頭エッセイに詳しく書いているので、引用させていただく。田村氏はかつては日本経済新聞、いまは産経新聞の記者として経済問題を専門としてきたベテランのジャーナリストである。
▲写真 田村秀男氏 出典:田村氏のブログより
田村記者は「トランプをけなす日本メディアの倒錯」という題で以下のような記事を書いていた。一部を省略しながら引用する。
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