米中貿易「戦争」どっちが悪い?
Japan In-depth / 2018年7月29日 12時18分
「(米中の貿易摩擦では)驚いたのは、中国に肩入れするメディアや識者が日本には圧倒的に多いことだ。トランプ大統領を『保護貿易主義者』とみなし、自由貿易ルール無視の習近平中国国家主席を事実上、持ち上げる倒錯ぶりである」
「日本経済新聞は7月7日の社説(リンクはWeb版)で中国側の『様々な手口で技術や情報を奪う中国の知財侵害は悪質だ』としながらも、結論は『だからといって制裁や報復に走るのでは、お互いの首を絞めるだけだ』。けんか両成敗といわんばかりだ。そして『米国は鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を、中国以外の国にも発動した。日本や欧州が連携し、保護貿易を封じる必要もある』と締めくくっている。『米国=保護貿易』との印象を読者に与える意図が見え見えだ」
田村記者のコラム記事はさらに日本の他のメディアの論調をも批判的に取り上げていた。
「朝日新聞の7月4日付社説は、『報復関税連鎖 保護主義に歯止め』(リンクはWeb版)である。米国の鉄鋼・アルミ輸入制限と『中国製品に対する高関税』を同列視したうえで、米国に対し『保護主義を改めるべきだ』と説教した」
「7月8日のNHK日曜討論でも、『保護主義米国』を懸念する識者が多い。欧米の主流メディアはおしなべてトランプ政策に批判的なのだが、トランプ政権の対中強硬論を保護貿易主義と決めつけることはしない」
以上のような田村記者の指摘には私も全面的に同調する。別に同記者が産経新聞だからというわけではない。米中貿易関係の経緯や中国の貿易慣行の歴史をある程度でも知っていれば、中国側がまず保護貿易主義的な措置をとってきたことは明白である。
田村記者の指摘した日本の主要メディアの論調のなかでは日本経済新聞のそれがとくに興味深い。前記のように日本経済新聞は7月7日の社説ではアメリカをほぼ悪者扱いにしていた。「日本と欧州が連携し、アメリカの保護貿易を封じるべきだ」とまで述べていた。中国が不公正貿易慣行の元凶だという現実への認識はみせなかった。
▲写真 日経新聞東京本社が入る日経ビル(東京・大手町) 出典:Photo taken by J o.
ところがその同じ日本経済新聞が18日後の7月25日の社説ではほぼ逆転して、非は中国にあり、という論調を打ち出したのだ。この社説(リンクはWeb版)は「中国は世界経済の普遍的ルール受容を」という見出しだった。そして中国側の欠陥やゆがみについて以下のように述べていた。
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