メキシコ左派‟大統領”登場 NAFTA再交渉複雑化
Japan In-depth / 2018年7月29日 18時0分
山崎真二(時事通信社元外信部長)
【まとめ】
・対米強硬派のロペスオブラドール氏、メキシコ大統領に。
・NAFTA再交渉の最大のハードルは、自動車の「原産地規則」
・ロペスオブラドール氏、再交渉は新政権の手でやり直す意向。
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米国、メキシコおよびカナダ3国の北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の行方を一層、不透明にする要因が生じている。先のメキシコ大統領選で対米強硬姿勢を見せていた左派のロペスオブラドール氏が当選したためだ。同氏の言動とそれに対する米国の出方次第では再交渉がさらにこじれ、長期化する可能性もある。
■ 対米強硬派次期大統領の関与はどこまで
昨年8月に開始されたNAFTA再交渉はこれまでに7回にわたり公式会合が開かれた。今春には「大筋合意間近」との観測が流れたものの、トランプ米政権の「米国第一主義」に基づく協定の大幅改定要求に対するメキシコとカナダの反発などから、いまだ決着していない。7月下旬からワシントンで始まった8回目の会合は先のメキシコ大統領選後、初めての公式交渉ということもあり、これまで以上に関心が集まっている。
メキシコでは「ロペスオブラドール次期大統領がNAFTA再交渉にどれだけ関与してくるかかが、交渉の行方を左右する」(メキシコ有力経済紙「フィナンシエロ」)といった見方が有力。ロペスオブラドール氏はポピュリズム(大衆迎合主義)的政策の公約を掲げ、大統領選に圧勝。選挙戦でトランプ大統領の反メキシコ的言動をやり玉に挙げ、NAFTAに関しても「メキシコの利益を第一に考えるべき」と「米国第一主義」に対抗する発言を繰り返し、メキシコ有権者の喝さいを浴びた。
同氏が正式に大統領に就任するのは今年12月1日だが、それまでの政権移行期にはペニャ・ニエト現政権と協力してNAFTA再交渉に関与する考えを表明。実際、メキシコの現交渉チームを率いるグアハルド経済相は「今後の交渉は次期政権移行チームと一緒に行う」と明言。同相によれば、今回のワシントン会合には次期政権の経済閣僚内定者が加わるという。
▲写真 エンリケ・ペニャ・ニエト現メキシコ大統領 出典:エンリケ現大統領公式Twitter
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