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日朝合同調査委員会のわな

Japan In-depth / 2018年8月3日 23時0分

北朝鮮に調査させるのでなく、日本からも乗り込んでいって調査に参加させろと要求すべきだなどと「威勢のいい」言い方をされるとつい頷いてしまう政治家も多い。例えば青山繁晴参院議員(自民)は、対北宥和派ではないはずだが、合同調査委員会を最近、事あるごとに唱えている。



「拉致事件の解決にしても、北朝鮮は内幕を知ってしまった被害者は帰さないので、選別する。そうさせないために日本は調査隊を入れなければならないが、日本単独では受け入れられない。日朝共同では北朝鮮ペースになるので国際調査団を送り込まなければなりませんが、調査団の背後に実力がないと解決しません。自衛隊の実力も活用できるようにすべきです」 (産経新聞7月27日付のインタビュー)。



「国際調査団」「自衛隊の実力も活用」などと一見踏み込んだ議論のようだが、言葉の空回りという他なく、北に利用されるだけに終わろう。


日朝議連の顧問格、石井一元自治相となると、「交渉の入り口から拉致問題を外さねばならない。(小泉訪朝時に)北朝鮮は拉致被害者13人のうち8人が死亡と通告した。最高権力者が首脳会談で発した言葉であり、重く受け止めるべきだ。金正恩委員長が父親の言葉を覆すとは考えにくい」ともはや親北発言の歯止めなき垂れ流しである。


石井氏もやはり、「国交正常化し、北朝鮮に連絡事務所などを設けられる環境をつくる。日本の警察や拉致被害者の家族が北朝鮮で調査をした方が、丸投げするよりはるかに良い」と合同調査委員会を提案している。しかし合同調査委員会は、実質的には「もみ消し委員会」に他ならない。なぜか。


北朝鮮が正直に全被害者を返せば、そもそも北朝鮮における「調査」など必要ない。合同調査委員会は、北が死亡通告を出してくることを前提とし、それを受け入れる枠組として構想されている。


北も様々に「協力」してくるだろう。「拉致被害者Aさんの交通事故死現場に居合わせた証人2人を呼んである。我々がいると、また北朝鮮当局が無言の圧力を掛けたなどと言う人々が出てくるので、別室で控えている。どうぞ日本側だけで自由に尋問して下さい」等々の光景が目に浮かぶようだ。


監視カメラと盗聴器が仕掛けられた「取調室」で、「証人」役を割り振られた人物がシナリオをはずれた発言をするはずもない。「お父さん(お母さん)は確かに亡くなりました。おじいさん、おばあさん、なぜ会いに来てくれないのですか」などと、以前横田めぐみさんの娘キム・ウンギョンさんが強いられたと同様の科白を言わされる拉致被害者の子どもたちも現れるかも知れない。彼らをそうしたつらい状況に追い込んではならない。


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