日朝合同調査委員会のわな
Japan In-depth / 2018年8月3日 23時0分
かつて小泉第二次訪朝の際、「ジェンキンスを呼んである。小泉さん自ら意思を確かめてくれ」と金正日に促された小泉首相が、日本に来るよう熱を込めて説得した例がある。ジェンキンス氏は誘いを断り、逆に妻(曽我ひとみさん)を北に戻すよう求めた。後に北朝鮮脱出が叶ったジェンキンス氏は、あの場で日本に行きたいなどと言えば命はなかっただろうと述懐している。
一切の言論の自由がなく、すべてが捏造された国でまともな証人尋問も証拠収集もあり得ないことは自明である。にも拘らずそれを日本から持ち出すなら、「死亡通告で構わない。一緒に調査を尽くした形を作り、日本世論の沈静化に努める」というメッセージだと北は受け取るだろう。
「日本側は様々なルートで拉致被害者の生存情報を得ている。正直に全員を出せ。誤魔化しには圧力強化で応じる」が、あくまで日本側の基本姿勢でなければならない。本来は、アメリカ同様、「圧力」の中に斬首作戦なども含まれるべきだが、その点、戦後日本は自らの手を縛ってきた。解きに掛かる気配はまだ政界に見られない。
国としてのこの弱さが、「日本は何の実力手段もないのだから、合同調査委員会で国民に拉致被害者死亡を納得させ、宥和政策を進めていくしかない」といった発想を生むことにもなるのだろう。問題の根は深い。
トップ画像:握手を交わすトランプ大統領、金正恩書記長 2018年6月12日 出典 facebook White House
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