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兵站軽視という悪しき伝統  昭和の戦争・平成の戦争 その1

Japan In-depth / 2018年8月10日 14時3分

昭和から平成の世となってすぐに、イラク戦争が始まり、日本も「人道支援」の名のもとに自衛隊を派遣したわけだが、実戦を前提とした参加でなかったのは幸いであった。



写真)イラク人道復興支援特措法に基づく活動


出典)陸上自衛隊


 


憲法上の問題をあえてひとまず置いて話を進めるが、当時の主力戦車であった74式には、エアコンがない。砂漠に持って行ったらどうなるか、ということを考えていなかったのだろうか。


 


旧ソ連軍は、全ての戦車に安価にエアコンを取り付けるべく、日本製のカーエアコンを無断コピーし、大量生産するということまでしていた。もちろん誉められたことではないが、自衛隊が「限られた電力を消費し、調達価格も高くなる」などという理由でエアコンなしの戦車を使い続けていたに比べ、はるかに軍事というものを理解していた、とは言えるだろう。


 


高校球児でさえ、炎天下の甲子園球場で、脱水症状で足をつらせたりして問題になっている。「災害レベルの猛暑」に苦しめられている今年の日本人ならば、エアコンなしの戦車で砂漠に乗り込むというのが、どれほど無茶な話か、理解できるのではあるまいか。


 


もちろん現実には、自衛隊が戦車をイラクに持ち込むことはなかった。しかしこれは、憲法論争が盛り上がるのを回避するためであって、砂漠での使用に耐えられないから、という理由ではない。


 


「命がけで任務を果たす自衛隊員が、憲法違反の存在でよいのか」などという論理でもって、憲法9条そのものを変えないまでも自衛隊の存在を明記しよう、というのが昨今の内閣の姿勢だが、これまで自衛隊員の命を危険にさらしてきたのは、歴代自民党内閣の安全保障政策に他ならない。


 


昭和の旧日本軍において、下士官兵は「消耗品」という扱いを受けてきた。今の自衛隊は政争の道具になり果てている。歴史は繰り返す、と言われるが、繰り返してはならない歴史もある。


(その2へつづく)


トップ画像:写真)高所連結作業をする自衛隊 出典)陸上自衛隊


 

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