アメリカ新聞界の重大危機
Japan In-depth / 2018年8月18日 14時26分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・ボストン・グローブ「ジャーナリストは敵ではない」との社説掲載、多くの新聞が同調。
・トランプ氏の「メディアは国民の敵」との非難に対抗したもの。
・保守系新聞の中にはメディア側の政治偏向にも原因があるとの主張も。
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アメリカのリベラル系の最古参新聞が8月15日の社説で全米の新聞が連帯して、いまのニュースメディア全体への危機に対応しようと訴えた。トランプ大統領の「メディアはアメリカ国民の敵」とか「フェイクニュースだらけ」という非難が全米に広まり、メディアへの不信が深刻なまでに広まったという懸念から、各新聞が一体になって同じような社説で反撃しようという呼びかけだった。
▲写真 メディア報道を批判するトランプ氏のtweet、2017年8月16日 出典:Twitter @realDonaldTrump
翌16日、全米で大小300以上の新聞がこの呼びかけに応じて、トランプ批判や報道の自由擁護の社説を載せた。しかし大手新聞数紙はこの団体行動には応じず、少数の保守系の新聞からは即座に「新聞の側の反省も欠かせない」という反論が出て、アメリカのメディアの分裂や危機を改めて印象づけた。
アメリカ北東部ボストンを拠点とする日刊新聞のボストン・グローブは同15日、「ジャーナリストは敵ではない」と題する長文の社説を掲載した。同紙はアメリカの新聞界でも最も古い伝統のある日刊紙で発行部数は約24万部、政治的には民主党傾斜のリベラルとされる。
同紙の論説副主幹マージョリー・プリチャード氏は同社説でトランプ大統領のメディア非難によりいまのアメリカには新聞のあり方や報道の自由に深刻な危機が起きたとして、全米のすべての新聞が「保守も、リベラルも、大新聞も、小新聞も」連帯して、社説で一致して、この「基本的な脅威」に対応することを提案していた。
▲写真 ボストン・グローブ論説副主幹マージョリー・プリチャード(Marjorie Pritchard)氏 出典:facebook
同社説の内容で注目される点のひとつはトランプ大統領の主要メディア敵視により一般アメリカ国民のメディア不信が異様なほど高くなったという指摘だった。同社説はその説明として、国際市場調査会社のイプソスがこの8月に入ってアメリカ国内で実施した一連の世論調査結果を紹介していた。その要点は以下のようだった。
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