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世界の良心 アナン元国連事務総長のレガシー

Japan In-depth / 2018年8月20日 10時52分

アナンは、冷戦後唯一の超大国となった米国に対し、ガリ事務総長時代に険悪となった関係を修復し、グローバリゼーションが進む中、国家以外の様々なアクターとの協調を深め、2001年には国連とともにノーベル平和賞を受賞し、「非宗教的法王」と揶揄される世界の良心として尊重される存在となったが、米国との関係は最後まで苦労することになる。しかし、ナイジェリアとカメルーンの国境画定に寄与するなど、アナンの功績は多い。



▲写真 国連とアナン事務総長へのノーベル平和賞授与式(2001年12月10日ノルウェー・オスロ)出典:UN Photo/Sergey Bermeniev


1997年から2006年まで事務総長を2期務めた後、アナンはスイスに本部を置くアナン財団を設立し、アフリカの発展、特に農業の発展に精力をつぎ込むことになる。しかし、国際的感覚に優れ、叡智を内包するアナンを世界は放ってはおかなかった。ネルソン・マンデーラが設立した「エルダーズ(長老会)」の一員として国際問題の解決に寄与することになり、マンデーラの死後はその会長として活躍する。2008年のケニアの大統領選をめぐる内紛を終息させその後の政治的安定に寄与したのはその一例だ。


2012年には、「アラブの春」で内戦に突入したシリア紛争解決のために国連とアラブ連盟の特使として6項目からなる「アナン・プラン」と呼ばれる和平案を提唱したが、激化する内戦を収束させるための関係国の協力を得られず、挫折する。2017年には、ミャンマーにおけるロヒンギャ危機打開のために諮問委員会を率いてその解決策を提示するが、これもまだ解決には至っていない。シリア紛争でもロヒンギャ危機でも、世界の良心的立場から紛争解決への道標を提供したが、紛争解決は当事者の政治的意思と妥協の精神がないと困難なことを浮き彫りにしている。



▲写真 Stanley Meisler著『Kofi Annan: A Man of Peace in a World of War』(2006年12月27日 国連本部での出版サイン会)出典:UN Photo/Paulo Filgueiras


アナンは国連と事務総長という職を通じて世界の良心となった人だろう。周囲の同僚や部下に対しても気を使い、おおらかな性格を持ち合わせながらも、鋭い観察力で物事を分析し、柔らかい口調で論理を通す。アナンと人生のどこかで出会った人達は皆この卓越した人材に敬意を払い冥福を祈っている。


トップ画像:コフィ・アナン第7代国連事務総長 出典 UN Photo/Evan Schneider


【訂正】2018年8月20日


本記事(初掲載2018年8月20日)の文中の写真3枚を削除致しました。


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